企業の若手活躍やワークライフバランス、インターンシップ制度について紹介するこの企画。
今回はあらゆる業種の人手不足をテクノロジーで支援する、ロボットスタートアップ企業のPLEN Robotics(プレンロボティクス)株式会社を取材しました。
人とテクノロジーが共存する世界へ。PLEN Robotics株式会社
PLEN Robotics株式会社は、日本で10年以上に渡り小型ロボットを開発してきた株式会社プレンプロジェクトを経て、2017年7月にAI技術を実用的なアシスタントサービスとIoTデバイス化するために設立されたロボットのスタートアップ企業です。
顔認証AIロボット「PLEN Cube」を通じて、社会課題である人手不足の悩みを抱える企業をサポートすると同時に、人とテクノロジーが共存する世界を目指しています。
会社名 | PLEN Robotics株式会社 |
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住所 | 大阪府大阪市北区豊崎4丁目6番3号クレピス21 303号 |
事業内容 | 顔認証AIロボット「PLEN Cube」の開発 |
設立 | 2017年6月 |
公式ページ | https://plenrobotics.com/ |
働き方 | ハイブリッド勤務(出社+リモートワーク) |
PLEN Roboticsのテクノロジーやセールスを支えるのは、インターン生を中心とした若手スタッフです。ジョインを希望する学生が後を絶たない背景には、同社のフレキシブルな働き方や、独自のカルチャーがあります。
そこで本記事ではSales&Marketing Associateの小川侑紀さんに、PLEN Roboticsのワークライフバランスやインターンシップ制度の特徴などを中心に、お話を伺いました。
人手不足を解消する顔認証AIロボット「PLEN Cube」を開発
▲「PLEN Cube」は能動的に顔の中心部を捉える独自技術により、高い認識率の維持が可能
編集部
はじめにPLEN Roboticsさんの事業内容についてお聞かせください。
小川さん
当社は顔認証AIロボット「PLEN Cube」を通じてサービス業の現場やバックオフィス業務の自動化やリスク管理のDXを目指し、社会課題である人手不足の悩みを抱える企業をサポートする事業を展開しています。
人手不足解消を目的としたテクノロジーはさまざまありますが、高額で専任のオペレーターにしか操作できないものでは普及にはつながりません。人手不足をテクノロジーで解決することをビジョンに掲げる当社では、誰もが普段使いできるテクノロジーを目指し、「PLEN Cube」の普及拡大に努めています。
編集部
「PLEN Cube」の具体的な機能についてもご紹介いただけますか?
小川さん
「PLEN Cube」には顔認証、顔認識、音声認識の機能テクノロジーが搭載されており、顔認証機能は出退勤の管理、シェアオフィスなどの施設における入退館受付業務の効率化に役立てることができます。また、ネットワークにつなげることでセキュリティ管理も可能です。
顔認識は個人を特定する機能とは異なり、属性や来場回数を判断するテクノロジーです。音声認識は5秒の会話からストレス度をチェックし、メンタル状態を可視化することで社員の労務管理などに活用できます。
小規模施設にも導入可能な、回線負荷がかからない画像処理と月額定額制
編集部
多彩な機能が搭載されている「PLEN Cube」の最も特徴的な機能についてお聞かせください。
小川さん
エッジコンピューティングによって顔の画像解析を、クラウドを介さず端末内で行っていることが特徴として挙げられます。
一般的に顔の画面は1枚あたり2〜3Mの容量になるため、クラウド上にアップするには通信コストがかかります。「PLEN Cube」は回線負荷がかからない容量の画像に変換でき、回線使用量は月額定額制の使い放題となっています。また家庭用のWi-Fiでも使うことができます。
「PLEN Cube」に使用している技術は顔認証、顔認識、音声認識の3つとシンプルですが、カスタマイズをすることでさまざまな業界や業種へのアプローチが可能です。
編集部
わざわざ専用回線を引くことはないので、導入費用もランニングコストも抑えることができるというわけですね。
外国籍のスタッフが半数以上。20代の若手が第一線で活躍
▲外国籍のスタッフが多く在籍するPLEN Roboticsでは、英語を中心に多彩な言語が飛び交っている
編集部
PLEN Roboticsさんのスタッフは現在、何名がジョインされているのでしょう。年代と合わせてお聞かせください。
小川さん
当社の雇用形態はさまざまですが、全てを合わせると約20名のチームとなっています。東京と大阪に拠点がある当社は、東京はセールス&マーケティング部門、大阪はエンジニアリングと経理や人事など会社のインフラ部門を担っています。
私が在籍するセールス&マーケティング部門はトップが50代、そのほかのスタッフは20代が活躍しています。また、半分以上が外国籍と、インターナショナルな人材が多いことも当社の特徴です。現在、ソフトウェアのエンジニアは全て外国籍の人が業務を担っています。
年齢ではなく、力を発揮できる仕事を任せるのがPLEN Roboticsのカルチャー
編集部
PLEN Roboticsさんで活躍されている方の特徴や、印象的なエピソードがあればぜひ、お聞きしたいです。
小川さん
採用時に年齢や経歴をあまり聞かない当社は、その者が力を発揮できる仕事を任せるカルチャーが根付いています。そのため、ベテランが適任の業務はベテランが担い、若手が得意とする分野は若手に任せています。
20代が多い当社は自ずと若手が活躍する場面は多くなっています。例えば、クライアント様と打ち合わせをし、要件定義から作るプロジェクトは20代のスタッフが中心となって進めています。
また、セールス&マーケティング部門では新しいツールやSNSにおけるトレンドのハッシュタグなどは、SNSの企画から運営、分析までをインターン生に任せることがあります。エンジニアもインターン生が自分でコードを打ち、「PLEN Cube」の開発や受託開発に積極的に携わっています。
編集部
なるほど。年齢で区別するのではなく、実力や得意分野を評価した結果、若手がどんどん台頭してきたというわけですね。
ピッチイベントの重要なプレゼンも20代の若手がチャレンジ
編集部
小川さんはセールス&マーケティング部門に在籍されているとのことですが、どのような業務を担っているのでしょう。
小川さん
ピッチイベント(※1)でのプレゼン、アクセラレーター(※2)の英語面談などを担っています。本来であればCOOの富田が立つ業務ですが、当社のようなスタートアップの場合、若手がフロントに立つことでインパクトを残せることがその理由です。
(※1)ピッチイベント:短時間で自社の製品やサービスを紹介するイベント。主に、ベンチャー企業が自社の魅力や将来性について投資家に売り込み、資金を獲得することを目的とする
(※2)アクセラレーター:スタートアップの支援を行う組織およびプログラム
もちろん、重要なプレゼンは富田が立つこともありますが、私の声の通りやすさがプレゼンに向いていると評価され、このような業務を担うことが多いです。
創業者ではない20代がピッチイベントに登壇することは稀で、お集まりいただいた方からはよく、「小川さんはPLEN Roboticsの創業者ですか?」と聞かれ、違うと話すと驚かれます。
編集部
ピッチイベントではどのようなテーマで話されることが多いのでしょう。
小川さん
イベントのテーマに合わせて商品を説明することが多いです。ヘルスケアがテーマの場合は、「PLEN Cube」の音声によるメンタルチェックの話をします。また、医療介護がテーマのイベントでは、「PLEN Cube」の介護施設への導入実績をプレゼンします。
ピッチイベント以外では、クライアント様へのヒアリングや機器の設置作業、導入後のアフターフォローにも出向きます。
人手不足問題は大都市より人口が少ない地域の方が深刻です。そのため、取引先は四国や九州、広島、富山など地方を中心に全国を回っています。その際、インターン生も同行することで、実際にお客様のニーズを聞き、ピッチに役立てています。
成長機会を与え、万全のフォロー体制で挑戦を後押し
編集部
小川さんがこれまで体験してきた中で、PLEN Roboticsさんだからこそ経験できたと感じることはありますか?
小川さん
年に1回ほどの海外出張で得られることは、当社ならではの体験と感じます。2023年にカナダで開催された北米最大級のテックカンファレンス「Collision2023」や、2022年にポルトガルで開催された世界最大級のテクノロジーカンファレンス「Web Summit 2022」に参加できたことも貴重な経験となっています。
編集部
国際的な場でも活躍シーンがあるPLEN Roboticsさんですが、スキルアップのためのフォロー体制や研修制度などはありますか?
小川さん
成長の機会を作り、チャレンジを後押しすることを大切にしている当社では、悩んだりつまずいたりした時にいつでも相談できる体制を整えています。スキルアップ研修など特別な制度はありませんが、チャレンジする者が自信を持って挑むことに重きをおいています。
私の場合はピッチイベントでのプレゼンを初めて任された時、どうしてよいのかわからず、富田ともう1名の創業者である赤澤に相談をしました。その際、正解をストレートに教えるのではなく、今、私が考えていることをヒアリングして深掘りすることで正解へと導いてくれました。
また、ピッチイベントの練習もロールプレイングのように富田や赤澤と1対1で練習を重ねました。
編集部
なるほど。PLEN Roboticsさんの万全なフォロー体制が常にあることで、スタッフのみなさんは果敢にチャレンジできるというわけですね。
働く場所、時間、雇用形態もフレキシブル。ワークライフバランスに特化した働き方
編集部
次に、PLEN Roboticsさんの働き方についてお聞きします。就業時間や勤務形態について教えていただけますか?
小川さん
限られた人数で効率よく業務を回すため、当社ではフレキシブルな働き方を重視しており、ステータスも本人に合った働き方を選択することができます。私の場合は入社当時、週3日の勤務希望でしたが正社員登用で入社をしました。
採用においては基本、正社員での雇用となっていますが、こちらから雇用形態を決めることはありません。将来的に起業を考えている場合や、家庭の事情でパート・アルバイトでの雇用を希望する場合は本人の意向を尊重しています。
このように、ワークライフバランスが充実しているため、私も個人的に音楽活動をしながら正社員として働くことができています。
編集部
柔軟な働き方の背景には、どのような理由や考え方があるのでしょう。
小川さん
キャリア採用がメインの当社では、欲しいスキルを持った人材を求める採用ポリシーを掲げています。そのため、すでにフリーランスで仕事をしていたり、スキルはあるけれど子育て中だったりと、さまざまなシチュエーションに働き方を合わせていくという考えがあります。
採用の際には相談しながら勤務地や時間、リモートの有無など働き方を決めていきます。任せたい仕事がリモートワークでできる場合は、もちろん対応可能ですが、反対に、本人がリモートワークを希望しても、お客様と直接話す必要がある業務の場合は出社勤務となります。
現在、正社員は出社勤務を希望する者が多く、3名のインターン生がフルリモート勤務となっています。また、当社は副業も持つことも可能です。
PLEN Roboticsにジョインしながら副業で自分のこだわりを追求することができる
編集部
働き方を選択できたり、副業ができたりと、自由度が高いPLEN Roboticsさんですがジョインされる方はどのような理由で入社される方が多いのでしょう。
小川さん
私自身はマーケティングと英語を活かせる仕事には興味がありましたが、元々ITやロボットに関しての知識はありませんでした。ですが、AIやIT業界ロボットは将来的に必ず伸びると思っていたので、入社を決めました。
私のように音楽活動と仕事を両立させたい者など、自分のやりたいことへのこだわりを柔軟に取り入れるPLEN Roboticsの懐の深さに惹かれ、ジョインする者が多いように思われます。副業は収入が不安定なことも多い中、当社にジョインすることで安定した収入が得られることも理由かと思われます。
編集部
自分のこだわりを追求するためにも安定収入が得られるPLEN Roboticsさんでの業務を頑張ることができるというわけですね。理想的な相乗効果だと思います。
実務経験を積みながら、プロジェクトに参加できるPLEN Roboticsのインターンシップ制度
▲インターン生も展示会やピッチイベントに積極的に参加し、実務経験を積んでいる
編集部
インターン生を積極的に受け入れているPLEN Roboticsですが、どのような業務を担っているのでしょう。
小川さん
セールス&マーケティング部門では、SNSの企画、分析から運用までを任せることが多いです。最近では予算を提示し、Facebook広告の企画、実行、分析をお願いすることもあります。
先ほど申し上げた通り、インターン生が出張に同行し、PLEN Roboticsを認知していただくための展示会やスピーチイベントに参加してもらうこともあります。イベントでは当社のブースにお越しいただいた方に商品を説明し、商談につなげるところまでを任せています。
編集部
インターン生はかなり実務的な経験を積むことができるのですね。
ハイコンテクストからローコンテクストへ。シフトチェンジを進めるPLEN Roboticsのカルチャー
編集部
PLEN Roboticsさんのインターシップに参加したからこそ、得られた経験などエピソードがあればご紹介いただけますか?
小川さん
空気を読むことや状況を察することが重視される日本のハイコンテクスト(※)文化を変えていきたいと考える当社の、女性活躍やインターナショナル化を進めるカルチャーに刺激を受けるインターン生が多いように感じます。
(※)ハイコンテクスト:文化や価値観、文脈の共有度が高く、お互いの共通認識や知識、文化的背景などを前提として会話が進むコミュニケーション方法
国際社会ではコミュニケーションを図る際に、前提となるコンテクストが少なく、ローコンテクスト(※)文化と呼ばれる文脈や背景よりも言葉そのものを重視し、話し手に思考力や表現力、論理的な説明能力が必要とされ、直接的な表現できちんと正確に意図を伝えることが求められます。
(※)ローコンテクスト:コンテクスト(文脈)に頼らずはっきり言葉にするコミュニケーション方法
例えば当社では、指示を出した時、相手の顔色を伺いながらただ指示されたことをやるのではなく、目的を理解した上で効率的なやり方や新しいアイデアを出すことをインターン生にも求めています。
インターン生は学生でありながら自分のアイデアが採用され、実際にプロジェクトに反映されることにやりがいを感じます。私たち社員としても、新しい意見をどんどん取り入れ、実践していこうと考えています。
編集部
外国籍のスタッフが活躍するPLEN Roboticsさんならではのカルチャーですね。
海外の学生もジョインする国際色豊かな環境
編集部
外国籍の方の出身国と、PLEN Roboticsさんにジョインする理由についても教えていただけますか?
小川さん
現在はフランスが最も多く、インドネシア、中国、カナダ、アメリカ、ロシア、ウクライナからの学生、社員がジョインしています。
外国籍のスタッフの多くはインターンでの採用です。欧米では新卒での入社はハードルが高く、学生のうちに職業経験を積むことで、新卒採用の確率が高くなることがその理由です。
働いた時間が大学の単位に変換できることもあり、自国のインターンシップは無給なこともあるのに対し、日本の企業は当社のように有給なことが多いことが日本の企業を選ぶ理由と思われます。日本が好きで職業経験を積みたい学生にとっては、メリットが大きいというわけです。
海外からのインターン希望者は、ビジネス特化型のアプリ「LinkedIn」で当社を探したり、当社にジョインした先輩からの紹介が多い印象です。
現在、3人のフランス人インターン生は同じ学校で、同じ先生から日本語の授業を受けていたのですが、先生が来日した際、教え子が同じスタートアップで働いていることに驚かれたようです。
編集部
なるほど。海外の学生にとってもPLEN Roboticsさんの働き方やカルチャーは魅力というわけですね。
お互いを高めあうことができる、企業と学生の理想的な関係性
編集部
御社はキャリア採用がメインとのことですが、インターンから正社員に登用されることはありますか?
小川さん
セールス&マーケティング部門のインターンから正社員になった者がいます。海外での就職を目指していたのですがコロナ禍となり、契約社員から後に社員として活躍していたのですが、コロナ禍が落ち着いたタイミングでもともと目指していた海外での就職が決まり、円満退社となりました。
また、エンジニアでもインターンから正社員になった者がいます。学生の時からインターンとしてジョインし、その後正社員となったのですが、自分でやりたい仕事やプロジェクトが見つかり、現在はフリーランスという立場で業務委託として当社のプロジェクトに携わっています。
このように、雇用形態は変わってもお互いを高められる関係性を築くことができるのが、当社のインターンシップ制度の特徴です。
PLEN Roboticsでの経験からステップアップを目指す方を歓迎
編集部
PLEN Roboticsのフレキシブルな働き方や、国際色豊かな環境に興味を持った読者は多いと思われます。最後に、御社が求める人物像やスキルなどをについてお聞かせください。
小川さん
新しいことに興味があり、常に情報をキャッチするアンテナを張ってアイデアに活かせる方がPLEN Roboticsのカルチャーフィットすると思われます。また、SNSの運営企画や動画編集コンテンツを作りたい方、実務的な仕事を経験し、就活の際に“ガクチカ(※)を作りたい学生にとっても、当社の経験は大きな財産になるでしょう。
(※)ガクチカ:学生時代に力を入れたことの略語
実務が多い当社では、動画や写真も自分たちで撮影します。その経験を活かし、ステップアップしていただきたいと考えます。当社としてもやる気のある方を積極的に採用し、Win -Winな関係を築くことができれば幸いです。
当社では定期的にウェビナー(※)による採用セミナーを実施しています。セミナーとしては珍しく、企画や運用はインターン生も一緒に考えているので、入社を希望する方に近い視点で当社の業務やカルチャーを知ることができます。
(※)ウェビナー:「ウェブ」と「セミナー」を組み合わせた造語。オンライン上で行うセミナー
ウェビナーは日本語と英語で開催しており、海外からも多くの方が参加します。当社に興味がある方はぜひ、当社のサイトやSNSをチェックし、気軽に参加してくださいね。
編集部
今回の取材を通し、顔認証AIロボット「PLEN Cube」の将来性や、それを支えるPLEN Roboticsさんの若手活躍、カルチャー、ワークライフバランスを知ることができました。国際色豊かな環境で働くことは、語学のみならず、国際人としても成長することができますね。
本日はありがとうございました。
■取材協力
PLEN Robotics株式会社:https://plenrobotics.com/
採用ページ:https://plenrobotics.com/company/