女性がいきいきと活躍する企業、ワークライフバランスを叶えながら働き続けることができる企業に取材をする本企画。今回は、株式会社ランクアップにお話を伺いました。
同社は、「たった一人の悩みを解決することで、世界中の人たちの幸せに貢献する」というコンセプトのもと、オリジナルブランド「MANARA(マナラ)」、「R_homme(アールオム)」、「ACNAL(アクナル)」などの開発・販売を行っています。
また、代表取締役を務める岩崎裕美子さんの「出産・育児などライフステージの変化があっても活躍できる職場でありたい」という非常に強い想いから、業務の効率化やオリジナルの福利厚生制度の展開に取り組んでいることが各方面で話題を呼んでいます。
今回は、そんな株式会社ランクアップの理念や制度の詳細を中心に、岩崎さんと広報部で活躍する奥野さんにお話を聞かせていただきました。
「たった一人の悩みを解決する」化粧品開発がランクアップのミッション
▲「ホットクレンジングゲルマッサージプラス」は累計販売本数2,500万本(2024年7月末時点)を超えるヒット商品
編集部
最初に、ランクアップさんの事業内容について教えてください。
岩崎さん
私たちは感動化粧品「マナラ」を中心に、男性用の「アールオム」、日中の肌ケアに特化した「アクナル」などの商品を展開しています。一番売れているのは、「ホットクレンジングゲル」という製品で、日本売上シェア第1位(※)の温感クレンジングです。
(※)TPCマーケティングリサーチ クレンジング商品の販売動向調査(2023年)
私たちの一番の特徴は、「たった一人の悩みを解決することで、世界中の人たちの幸せに貢献する」というコンセプトにあります。
編集部
大勢の悩みではなく「たった一人の悩みを解決」というのは、とてもユニークなコンセプトだと感じました。
岩崎さん
そうですね。私はランクアップをスタートさせて約20年になるのですが、以前に広告代理店の取締役を務めていたときの経験が、このコンセプトが生まれるもとになっています。
前職では夜中まで働くことが常態化しており、不規則な生活リズムと出来合いのお弁当ばかりの偏った食事で、肌がボロボロだったんです。見た目でいうと10歳上くらいの感じになってしまったのがとても嫌で、いろんな化粧品を使ってみたのですが、どうにも改善を感じられませんでした。
そのような経緯があり「肌をきれいにしたい」「自分で納得できる化粧品を作りたい」という想いから、ランクアップをスタートさせました。
編集部
岩崎さんご自身の肌の悩みを解決したいという想いが、御社の原点なんですね。
岩崎さん
そうです。そこから、主力商品である「マナラ」というブランドが生まれましたし、肌荒れやニキビを隠す「アクナル」というブランドにも同様のストーリーがありました。肌荒れとニキビに悩んでいた新卒の社員がいたのですが、彼女が4年ぐらいかけて「アクナル」を完成させたんです。
編集部
自分ごととして開発した切実な悩みに応える化粧品だからこそ、多くの方々に支持されているのですね。
女性がキャリアを諦めず、出産しても働き続けられる会社を創業
編集部
ランクアップさんの創業の経緯について、ぜひお聞かせください。
岩崎さん
私が働いていた広告代理店は営業職が全員女性だったのですが、毎日夜中まで働くので、とてもじゃないけど結婚も出産も難しい環境でした。子育てしながら働けるほど余裕のある会社じゃなかったので、将来、結婚や出産をしようという社員は全員退職していました。
私自身は取締役として売上を上げないといけなかったので、当時はその環境をしかたないと思っていました。取締役として「残業しないと売上が落ちてしまう。だから残業できない社員は必要ない」と考えていた面もあります。しかし、自分のこの先の人生を考えたときに、一生このままでよいのかどうかを見つめ直したんですね。
そして、「一生涯、女性も活躍できる会社を創りたい」という決意のもとに独立しました。
編集部
岩崎さんのように、バリバリ働きたいけど結婚・出産もあきらめたくない、という女性はたくさんいますよね。
岩崎さん
おっしゃるとおりです。このような方たちは仕事にやりがいを持っており、目標達成のために長時間仕事をすることもできます。しかし、子どもが小学生になったことや受験などをきっかけにして、退職を考えてしまうことが多いのです。
結果として、ランクアップには「バリバリとキャリアを積んで活躍していた女性たちが、出産・育児をきっかけに転職を考えて入社した」というケースが増えています。
エース社員に辞めてほしくない。代わりがいないから、育児支援に力を入れた
編集部
社員の皆さんは、岩崎さんの「女性に長期的なキャリアを描いて活躍してほしい」という想いに共感してくれているわけですね。
岩崎さん
そうですね。そのためにも、会社は仕事と子育ての両立ができるようサポートしています。
編集部
確かに、「辞めるなら次の人を補充するからいいですよ」と切り捨てずに、頑張っている方に長く働いてほしいというのは、自然な考え方ですよね。
岩崎さん
はい。ランクアップの社員はみんなエースなので、取り替えがきかないんです。みんなすごく努力をしてキャリアを積んでいますから。「子どもができた」という理由で退職されてしまうと会社を運営できなくなってしまいます。代わりはいないので、何としても手放せないと考えています。
そして、子育てをしている社員にも、キャリアを諦めてほしくないんですね。一般の会社では、「育児は大変だから、事務のサポートをする部署に異動」というやり方もあるかもしれませんが、私たちの会社にはそういう社員はいません。みんな自分の仕事を続け、目標設定をしっかり持っています。
編集部
岩崎さんが一人一人のメンバーを重んじている結果が、ママ社員の活躍につながっているんですね。
岩崎さん
厳密に言うと、うちの会社はママを優遇したいわけではないんです。ただ、例えば私も経験があるのですが、子育てをしながら働いていると「子どもが熱を出して大変」というような事件に遭遇しますよね。
私も含めて育児と両立して働く社員にいろいろな事件が起こるたびに、働きやすくするための制度をいろいろと整えていったんです。
長時間労働は禁止。ランクアップの働き方に関する制度とは
編集部
先ほどお話に出ましたが、ランクアップさんが整備してこられた制度と、皆さんのワークライフバランスについてお聞きします。
岩崎さんの著書のタイトルは「ほとんどの社員が17時に帰る10年連続右肩上がりの会社」ですが、現在も17時で皆さん帰っていらっしゃるのでしょうか。
岩崎さん
今は定時が8時半~17時半なので退社時刻も17時半になりました。今も定時に帰る社員が多く、長時間労働は禁止です。ただし、システム改修や広告運用など、理由があって残業する場合は、申請してもらって許可しています。
有給休暇に関しても1時間単位で取得できるようにしました。1時間だけ、3時間だけというようにフレキシブルに調整できれば、育児などで突発的な用事が起こりがちな社員も有給を効率よく使えると考えたんです。
編集部
子育てをしていると、どうしても子どもが体調崩したり、学校や幼稚園から呼び出しがあったりするので、短時間休めるのは便利ですよね。
岩崎さん
そうなんです。その他にも時短勤務はもちろんコロナ禍以降は時差出勤もできるようにしましたし、いろいろと制度が増えています。それらの制度を活用するときの考え方については、弊社の社員育児憲章「7つの子育てランクアップ!術」にまとめました。
会社の全額負担で病児シッターを使用可能。月10~20万円活用するケースも
編集部
育児に関する制度が増えているということなので、ぜひその他のものも紹介してください。
岩崎さん
特徴的なものとしては、病児シッター全額補助という制度があります。子どもが病気の時に使えるので、どうしても出勤しなくてはならない時など、とても便利です。過去には、1か月で最大20万円活用した社員もいます。
奥野さん
私はランクアップに入ってから結婚・出産をしたのですが、この制度を活用させていただいていました。例えば子どもがインフルエンザに罹ったとき、もう熱が下がって元気でも保育園や学校を1週間休まなくてはなりません。そういうときにとても助かります。
子どももシッターさんに遊んでもらうと喜びますし(笑)、私も安心して働けます。仕事に穴をあけることが最小限で済むので、「みんなに迷惑をかけている」と引け目を感じることがなくなりました。自分でシッター代を払うと負担が大きいので、本当に助かりました。
編集部
育児中の社員の声として、他にも助かっている制度はありますか。
奥野さん
1時間単位で取得できる有休には、かなり助けられています。ちょっと子どもを歯医者に連れて行かなくてはならないときとか、朝に治癒証明書を病院でもらってから保育園に連れていくのですが、そこで全休や半休を取っていたら、あっという間に有給休暇がなくなってしまうんですよ。
もちろんママじゃなくても、「コンサートに行きたいから」などの理由で1時間早く帰ることもできます。育児中の社員でも、そうでなくても休暇を細切れに使えるのは、とても良い制度だと思います。
編集部
全メンバーのワークライフバランス向上のために、有効な制度なんですね。
「育児体験」など、ランクアップならではのユニークな取り組み
編集部
ランクアップさんの社内カルチャーについて伺いたいのですが、独自の制度はありますか。
岩崎さん
育児サポートとも関連する取り組みなのですが、2022年に開始した「育児体験・育業体験(※)」はユニークな内容だと思いますね。
(※)育児体験は小学生以下の子どもがいる家庭に、育業体験は育休復帰後間もない2歳までの子どもがいる家庭に向かう
これは、若手社員を中心に子育て中の社員のお家に実際に行ってもらい、育児(育業)を体験してもらう制度です。別に子育ての大変さに同情してほしいというわけではなく、同僚がどういった状況で働いているのかを体験することで、生活背景を知り、気持ちを汲み取ることで、お互いを尊重するきっかけになればと考えて始めました。
編集部
特に若手の男性社員の方は、育児をリアルに感じる機会は少ないのかなと思いました。どんな感想がありましたか?
岩崎さん
みんな「こんなにハードな毎日なの!?」とびっくりしていましたね。仕事を終えて保育園にお迎えに行って、買い物に行って、ご飯を作って食べさせて、お風呂に入れて、歯磨きをさせてという流れを、夜10時ぐらいまで一緒に体験したんです。
保育園にお迎えに行ってから寝かしつけるまでの間、お母さんはほとんど座れないんですよ。外から見ると「時短制度で早く帰ってるな」くらいに思うかもしれないのですが、その後もずっと仕事が続くようなものです。
編集部
育児と仕事を両立するとはどういうことかという実態を理解することで、認識が変わるんですね。
岩崎さん
そうですね。これは育児に限った話ではなく、将来的には介護でも同じようなワークスタイルになるかもしれないし、お互い様ですよね。同僚が仕事以外のところでどんなことをしているか、相手のことを理解して尊重し合うきっかけになってくれていると思います。
子どもが普通にオフィスにいる環境。多くのイベントを通して絆も深まる
編集部
社員のお子さんが会社に来るようなこともあるのでしょうか。
岩崎さん
ありますね。ランクアップでは、子連れ出社をOKにしています。夏休みや長期休暇などの時に連れてくる社員が多いです。奥野さんも子どもと一緒に出社することがあるよね。
奥野さん
はい。もう何度も会社に来ているので、子どもにとっては会社の人みんなが「近所のおじちゃん・おばちゃん」みたいな存在です。お互いの子どもたちも度々会っているので仲良しですし、成長過程をずっと見守っているので、本当に親戚みたいな感覚ですね。
子どもが小学校にあがってからは、夏休みに学童保育に預けていたのですが、「夏休みなのに、なんで毎日学校と同じ時間に学童に行かなきゃいけないの?」と不満が出たんですよ。そういうときに会社に連れてきて、私の横で勉強したり、ゲームをしたりという過ごし方をしていました。ときには会社の中を掃除してくれたりもしています(笑)。
編集部
社内のリフレッシュルームなどではなく、普通にオフィスにいるんですね!曜日などが決まっているわけではなく、いつでも連れて来てよいのでしょうか。
奥野さん
もちろんです。いつもの風景なので、子どもがいても誰も気にしません。長期休みに入ると複数人来ていることもよくありますし、夏休みは社員の子どもたちに自由研究をするイベントを開催したり、冬休みには、書道が得意な社員が書き初めを教えてくれるイベントもあります。
編集部
知り合いが多い空間にいるとお子さんもリラックスして過ごせますね。お子さんのためのイベントは他にもあるんですか?
奥野さん
社内で育児用品リユースのマーケットを開催しています。子育て中の社員が多いので、不要になった洋服などを同僚にリユース品として渡すイベントです。クリスマスには、使わなくなったおもちゃをリユースしたりと、社員からとても喜ばれています。
以前には、「2分の1成人式」を初めて会社でやりました。10歳になった子どもたちを集めて「どんな大人になりたいか」を発表したんですけど、「こんなに大きくなったんだね」と声を掛けられたりして、とても感慨深かったです。
社員の生活を大事にするカルチャーが離職を防ぎ、業績アップにも繋がる
編集部
素晴らしいイベントばかりなのですが、例えば子どもがオフィスにいて生産性が落ちないかなど、経営者としての心配はなかったのでしょうか。
岩崎さん
そこは特に心配していませんね。私の思いは、「ママに辞めてほしくない」の一点なんです。
例えば奥野が言った、夏休み中に子どもが学童に行きたくないと言い出すケースも、気持ちがすごくわかるんです。学童に預けられない、家に置いておけない、そうすると会社に連れてくるしかないので、「いいよ」と言っているだけです。
もちろん、ときには「子どもがいてうるさい」と思うことだってあるでしょう。でも、別に生産性は落ちていないですね。このような職場環境でも、コロナ禍以外は一度も売り上げが落ちたことがないのがひとつの証明になっていると思います。
むしろ業績が好調なのは、社員が辞めなくて済んでいるからこそだと考えています。ランクアップは社員100人のうちママ社員が40人いるので、その人たちが毎年辞めていったら、業績はキープできませんからね。
編集部
なるほど。ママ社員を大切にすることと業績が上がることは、決して矛盾しないんですね。
育児を含めた自分のキャリアを大事にして、働き続けたい方を募集
▲取材にご対応いただいた代表の岩崎さんと広報部の奥野さん
編集部
最後に、この記事を読んでランクアップさんに興味を持った読者の方に対して、採用に関するメッセージをお願いします。
岩崎さん
私たちの会社に興味を持ってくださる方は女性が多いのではと想像しているのですが、私は男女問わず、若いときは条件に捉われずに、自分の好きなところで働けばいいと思うんです。「結婚しても働き続けたいから、早く帰れる会社がいいな」という考えで会社を選ぼうとすると、業界が狭くなってしまい、自分の好きな仕事を選べないかもしれないですよね。
大事なのは、とにかく何年間か活躍して、結果が出せるようにスキルを磨くこと。そのスキルを持って、ギュッと生産性を上げて働けるようになると、出産をしても、どんな働き方であっても、会社に貢献できるようになります。
自分がどこで働くにせよ、自分のキャリアを磨き上げて、それを使って転職することが理想だと思います。私たちの事業や働く環境に魅力を感じた方は、ぜひご応募いただければと考えています。
編集部
働くメンバーみんながエースとして活躍する、ランクアップさんらしい考え方ですね。
岩崎さん
もう一つ、現在職場で活躍しているけれど、「今の環境だと出産は無理だな」と自分でわかってしまっている方もいると思います。そういう方に、ランクアップなら一生涯活躍できる環境をご用意できます。
目標設定はあるので決してイージーではありませんが、キャリアを分断しなくて済むので、責任ある仕事を続けたい、そして子育てもしたい人にぴったりな会社だと思います。
子育てと仕事の両立に悩んでいる、あるいは将来的に両立したいという考えを持ち、キャリアを積み重ねたいという方にとって、ランクアップは日本で一番適した会社だと、私は信じています。
編集部
仕事にも子育てにも真剣に向き合っていけるポジティブな風土と職場環境は、ランクアップさんならではだと感じました。本日はありがとうございました。
株式会社ランクアップの基本情報
住所 | 東京都中央区銀座3-10-7 ヒューリック銀座三丁目ビル7階 |
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事業内容 | オリジナルブランド「マナラ」「アールオム」「アクナル」の開発および販売 |
設立 | 平成17年6月10日 |
公式ページ | https://rankuphd.jp/ |
採用ページ | https://rankuphd.jp/recruit-info/ |