ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、株式会社佐藤製作所にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同社で働く魅力をご紹介します。
創業68年の歴史を持つ株式会社佐藤製作所は、「銀ろう付け」という珍しい金属の接合技術を強みに、金属加工業界で成長を続けています。
2021年に「東京都女性活躍推進大賞」を受賞した同社は、一般的にはすでに技術を習得している人を採用する工場において、10年前から性別や経験を問わない採用を実践していることが特徴です。女性社員チームが新たなBtoCサービスを手掛けるなど、多くの女性社員、若手社員が幅広い分野で活躍しています。
今回は、株式会社佐藤製作所の女性活躍の取り組みを中心に、常務取締役の佐藤さんにお話を聞かせていただきました。
女性活躍:女性メンバーを中心に新規事業を立ち上げ!
編集部
御社では2021年に「東京都女性活躍推進大賞」を受賞されていますが、特徴的な女性活躍エピソードをご紹介いただけますか?
佐藤さん
一般的に男性が多い金属加工の工場において、弊社には若手女性社員のみで構成されるチームがあり、そこで幅広い業務を手掛けているのが当社の特徴です。具体的には営業、広報、人事といったビジネス・コーポレートサイドの業務全般を女性社員チームが担っており、入社1年目から裁量を持って業務に携わっています。
そのチームでは、新しい商品やサービス開発にも積極的にチャレンジしています。具体例として、若手女性社員を担い手とした新たなBtoC事業が立ち上がりました。
編集部
BtoC事業ではどういったサービスを提供されているのでしょうか。
佐藤さん
さまざまなことに取り組んでいるのですが、中でも人気なのは修理事業です。元々当社は大手メーカーの下請け製造をメイン業務としていましたが、女性チームが主体となって当社の金属加工の技術とノウハウを活かし「修理」という新境地を切り拓いています。
修理事業では、キャンプ道具やキッチン用品など金属製品の修理はもちろんのこと、新たにプラスチックの修理も手掛けています。金属製品の修理はベテラン社員が対応することが多いのですが、プラスチック製品の修理は問い合わせ対応から修理まで、すべて女性社員が対応しています。
▲子ども向けワークショップや中学生の職業体験など、女性社員が幅広い業務を担当
「ものづくりの現場」への女性進出も積極的に進めている
編集部
ものづくりの現場はどうしても男性が多いというイメージを持ってしまうのですが、女性社員が作業を行うこともあるのでしょうか。
佐藤さん
はい。実は佐藤製作所の新卒女性社員は皆、ものづくりの現場を志望して入社してくれているんです。現在は広報や営業を強化したいという会社の成長戦略もあって、製造以外の業務をメインでお任せしていますが、会社としても女性社員の現場志望を尊重したいと考えています。
実際に、ここ1年くらいで女性社員の現場進出を進めています。これまでの業界慣習や組織風土を考えると異例のことですが、現場で男性社員と同じ作業をする女性社員も徐々に増えています。
編集部
女性がものづくり現場に進出することに対して、周囲の反応はいかがですか?
佐藤さん
もちろん懐疑的な声はゼロではありません。しかし現場での女性活躍の可能性はあると思っていますし、彼女たちの「現場で働きたい」という思いがその証拠だと考えています。女性社員も男性の職人と同じように、溶接などの技術を習得できるということを証明しながら、この動きをさらに加速していけたらと思っています。
「誰もが安心して働ける環境づくり」を目指して―女性・新卒を積極採用―
編集部
御社が女性活躍に力を入れている背景をご説明いただけますか?
佐藤さん
前提として、当社では性別や年齢に関係なく「安心して長く働ける環境づくり」を重視しています。社員同士がきちんとコミュニケーションを取れる良好な関係のなかで、ものづくりの技術を時間をかけて磨いていくというのが佐藤製作所の目指す姿です。
「女性活躍推進」は、それ自体が目的ではなく、あくまで当社の目指す姿に向けた取り組みの一環です。製造業は若い人材がなかなか集まらず、特に女性の参画には高いハードルがあるのが業界常識です。この状況を打破するため、私が佐藤製作所に入社した2014年から、女性や新卒の積極採用を進めました。
2015年に第1号の新卒女性社員が入社し、以来10年間その採用方針を続けています。その結果として、女性社員が活躍する現在の当社の姿につながっています。この業界だから珍しいことと捉えられがちですが、「一般企業が当たり前に取り組んでいることを、当社でも当たり前に実施しているだけ」という認識です。
▲工業系高校などを対象に、「銀ろう付け」の体験を行うインターンシップも行う
編集部
女性・新卒採用を進めてきた10年間で、職場環境はどのように変化していますか?
佐藤さん
全社員17名中、女性社員が7名と高い割合に増加しました。それに伴って会社の雰囲気や環境は、少しずつではありますが確実に変わってきていると思います。ライフスタイルの変化に対応できるよう、制度面の整備に注力しています。私自身も子育て中で、その経験を活かして就業規則の改善を進めています。
また、女性や若手社員の提案やアイディアを汲み取って形にすることを大切にしており、実際により良い職場環境づくりに向けた新たな提案も生まれています。
一例として、女性社員から作業着の改善提案がありました。工場では通常、全員が同じ作業着を着用することが一般的ですが、女性社員の「好きな色の作業着を着られたら」という提案を受けて、現在3種類の色を試験的に導入しています。まずは女性社員と私から始めて、少しずつ会社全体に広げていく予定です。
教育体制:未経験でも実践を通して成長。日報等の意見交換も重視
編集部
ものづくりの現場では「背中を見て学ぶ」ような慣習も残っている印象なのですが、入社後はどのように技術を学んでいけるのでしょうか。
佐藤さん
実践的に学んでもらう方針ではありますが、段階を踏んで着実に成長していけるようサポートを心がけています。入社直後から現場の最前線でお客様対応や製品の検品、簡単な作業などから始め、OJTで経験を積んでいく育成方針です。
当社は新卒採用者はもちろん全員、それ以外もほとんどが未経験での入社です。しかし、実践を通して着実に成長できる環境があるため、本人の意欲と努力次第で3〜4か月程度で基本的な業務を自力で行えるレベルまで習得できます。
編集部
OJT以外の研修機会などはありますか?
佐藤さん
現状、体系的な技術研修プログラムはないのですが、それ以外の部分で私が10年前から続けている取り組みが2つあります。1つ目が、私と新入社員との間で行う日報のやり取りです。交換日記のような形で、本音や言いづらいことなども含めて意見交換をしています。
2つ目が、入社後不定期に、半年ほど行っている私と新入社員だけの約1時間のミーティングです。そこでは会社が大切にする価値観や、技術を学ぶ上で必要な心構えを伝えています。例えば「疑問に思ったことは自分から積極的に質問すること」「感謝の気持ちを常に持つこと」など、マインド面の擦り合わせを丁寧に行っているのが特徴です。
技術面は現場で習得し、会社全体の方針や仕事への心構えの共有、そして不安や疑問の解消を、日誌のやり取りやミーティングで解消していけたらと考えています。
メッセージ:採用ではマッチングを重視。ものづくりが好きな人を歓迎!
▲社員皆で準備し、家族も交えたBBQを実施!
編集部
最後に、御社に興味を持った読者に向けてメッセージをお願いします。
佐藤さん
文系理系問わず、手作業におけるモノづくりの仕事に興味があれば大歓迎です。未経験でも、ライバルが少なく、若手が少ない仕事なので貴重な人材になっていけると思います。長く、コツコツと継続することができる人が向いていると思います。
また、当社で長く活躍していただく上で、採用時点でのマッチングをとても大切にしています。当社のものづくりを理解し、「自分の手を動かしてものづくりをする」仕事が本当に好きな方を求めています。その思いがある方を、性別や年齢、経験を問わず歓迎します。
編集部
佐藤さん、本日は貴重なお話をありがとうございました!
編集後記
この記事のまとめ
企業の特徴 |
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職場環境・社風 |
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人材育成方針 |
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キャリア形成の特徴 |
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求める人物像 |
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株式会社佐藤製作所の基本情報
企業名 | 株式会社佐藤製作所 |
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住所 | 東京都目黒区鷹番3丁目20番7号 |
事業内容 | 「金属の銀ロウ付け溶接」の技術を活かした珍しいものづくり |
設立 | 1958年12月 |
公式ページ | https://sato-ss.co.jp/ |
採用ページ | https://sato-ss.co.jp/company/recruit/ |
募集職種 | 制作ものづくりスタッフ |