オリジナリティあふれるサービスを展開し、急成長を遂げている会社のあり方に迫るこの企画。今回は独自開発のプログラムでスポーツを学びに活かすスクールと保育園を運営する「株式会社biima(ビーマ)」をご紹介します。
biimaは、「21世紀型の教育コンテンツ」を提供するベンチャー企業です。独自開発のプログラムで子どもたちの能力を伸ばすスポーツスクール「biima sports(ビーマ・スポーツ)」を中心に、自社で保育園を設立・運営。並行してビジネスコンサルティング事業も展開し、リアルな社会情勢を教育コンテンツにフィードバックしています。
2016年の創業後、「biima sports」は全国250拠点(2023年7月時点)へと増加し、2020年に設立された保育園「biima school」は、2024年春には2校目の開園も決定しています。こうしたbiimaの急成長は、若手社員のチャレンジと、それを積極的にサポートする企業文化によって実現しているのです。
会社名 | 株式会社biima(ビーマ) |
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住所 | 東京都渋谷区大山町45-18 代々木上原ウエストビル3階 |
事業内容 | ⚫︎biima sportsの企画・運営 ⚫︎biima schoolの企画・運営 ⚫︎biima Danceの企画・運営 ⚫︎biima business consultingの運営 ⚫︎各種スクールの企画・運営 ⚫︎各種キャンプ、合宿の企画・運営 ⚫︎各種ワークショップ、イベントの企画・運営 ⚫︎知育玩具の企画・製造・販売 |
設立 | 2016年7月7日 |
公式ページ | https://biima.co.jp/ |
社員の平均年齢が20代半ばという若い会社であるbiimaにおいて、スポーツを活用した教育コンテンツと保育園事業はどのように成長してきたのか、また、どのような環境で若手社員たちは力を発揮しているのかについて、biima取締役でbiima sportsの責任者でもある土井義大さんにお話を伺いました。
biimaの3つの事業!総合スポーツをベースに21世紀に活躍する人材を育てる
▲子どもたちがasobiの中で発揮するこれらの「多様性・主体性・創造性」を、ヒトやITのチカラでmanabiの世界へ持ってきたいという思いを表している(biima公式サイトより引用)。
編集部
まず最初に、biimaという社名の由来についてご説明いただけますか?
土井さん
biimaという社名は、遊び(asobi)と学び(manabi)という言葉を組み合わせたものです。
私たちbiimaは、「夢・学び・喜び・幸せ」である「Happiness」を、世界中の人に提供できるサービスを創り出すこと、「Create your Happines」をミッションに掲げています。
biimaの創り出すサービスが、世界中の人々に、さまざまなものを学ぶ機会・楽しむ機会・喜びを感じる機会を提供し、その機会によって、より豊かで幸せな人生を送れる人や家族をたくさん生み出したい。そんなコンセプトを持って2016年に創業しました。
編集部
具体的にはどのような事業を展開されているのですか?
土井さん
2023年7月より新たに「biima Dance(ビーマ・ダンス)」という「総合キッズダンススクール」をスタートいたしましたが、それに加えて弊社では大きく3つの事業を展開しています。
まず私たちの出発点であり、現在メインとしている事業が「biima sports」で、3歳から12歳までの子どもたちを対象とした、総合キッズスポーツスクールです。
早稲田大学の広瀬統一教授・前橋明教授と共同開発した、最新のスポーツ科学と21世紀型幼児教育学を融合した独自プログラムに基づき、21世紀に活躍する人材を育てるというテーマで指導を行っています。
2つ目が「biima school(ビーマ・スクール)」という保育園事業です。「biima sports」の総合スポーツプログラムをベースに、基礎学力向上プログラムやクリエイティブ教育も実施する総合スポーツ保育園という位置づけです。現在、3期目を迎えた「芝浦アイランド校」があり、2024年春には吉祥寺校を開園予定です。
▲2020年に開園した自社運営の保育園「biima school芝浦アイランド校」(biima school公式サイトより引用)
そして3つ目が「biima business consulting(ビーマ・ビジネス・コンサルティング)」というコンサルティング事業です。意外に思われるかもしれませんが、教育事業において、社会とのタッチポイントを密に持ち続けることはとても重要なんです。これからの世の中がどう変化していくのか、未来を予測することで今後求められるスキルや能力を知ることができ、それらの要素を教育のコンテンツに正しく落とし込むこともできると考えています。
編集部
なるほど、社会や経済の情勢をキャッチアップしていないと、子どもたちに的確なアドバイスはできないですものね。コンサルティング事業での社会の今のあり方やビジネスのトレンドをフィードバックすることで、スポーツスクールでも保育園でもつねにフレッシュな教育コンテンツを提供されていることがよくわかりました。
「biima sports」の特徴は、親子双方の心をつかむ独自プログラムがあること
編集部
幼児から小学生向けのスポーツスクールは多く存在すると思いますが、その中でbiima sportsの優れている点はどこでしょうか?
土井さん
最新のスポーツ科学と幼児教育学に基づいたプログラムが、biima sports最大の独自性であり、優位性だと考えています。
スクールとしては3つの大きな特徴があるのですが、まず最初に「総合スポーツスクール」だという点が挙げられます。子ども向けのスクールの多くは、サッカークラブや体操教室など決まったスポーツに取り組むのが一般的です。biima sportsでは、年間通じて7種目以上のスポーツを行います。これにより、この年代に一番伸びるといわれる基礎運動能力をバランスよく伸ばすことができるんです。
2つ目の特徴は「非認知能力」の開発です。非認知能力は、偏差値やTOEICのスコアのように数値化はできない、コミュニケーション力・課題解決能力・社会適応能力など、社会に出てからものをいうスキルの総称です。子どもたちがグループで問題解決に自主的に取り組めるような遊びを通して、非認知能力を高めるプログラムを実践しています。
▲子どもたちが手にしているのは、遊びながらバランス能力を高めるスポーツトイ「プレイスポット」。これもbiimaと早稲田の共同開発
そして3つ目が密着指導です。1人の先生が指導する子どもは5人以下というルールでスクールを運用しています。われわれの開発したコンテンツを精度高く伝えるのはもちろん、新しいことを教わってやってみたその瞬間に褒められたらやっぱりうれしいですよね。
先生一人が見る人数が増えてしまうとどうしても「先生の言う通りにやってほしい」という指示が発生してしまいます。子どもたちの主体性を伸ばしたり、個々の能力に応じた課題設定をすること、そして、一人ひとりにたくさんの挑戦・失敗・成功のサイクルを経験させるために、先生の人数を手厚くして一人ひとりの子どもをよく見て、承認してあげることも狙いのひとつです。
編集部
土井さんは「biima sports」の責任者でいらっしゃいますが、その独自性が保護者の皆さんに響いているような実感はお持ちですか?
土井さん
そうですね。biimaならではのプログラムを求めていただいている親御さんが増えていると思います。
「幼少期にいろいろな種目を経験した選手のほうが、後に選んだ種目での能力が伸びる」という研究結果があるのですが、親御さんとお話をしていても、大谷翔平選手やNBAの八村塁選手がいろいろなスポーツを経験していた事例をお伝えすると、すごく理解していただけます。
親御さんの意識も昔とは変わっているようで、「親がやらせたい種目ではなく、子ども自身が楽しんで取り組める種目をやってほしい」という要望も、非常に多いです。いわゆる学校の勉強だけができる子どもよりは、自分で考えて試行錯誤ができる子どもに育ってほしいという願いを持っていらっしゃるんです。
biima sportsでは幼少期にそうした能力の下地づくりができるということも理解していただけているので、まさに今の子育て世代の親御さんのニーズにマッチしているのではないでしょうか。
編集部
子どもたち自身が、楽しんで「通いたい」と思うことが重要ですよね。biima sports独自の総合スポーツプログラムが、親御さんと子どもたちの両方に受け入れられていることがよく分かりました。
全国展開や多方面の新サービスも開始
▲新機軸として21世紀型キッズダンススクール「biima Dance」を開校(biima Dance公式サイトより引用)
編集部
現在、全国の「biima sports」の教室数が250カ所ということですが、創業7年にしてこのペースはすごいですね。
土井さん
ありがとうございます。私たちの理念が皆さんに理解いただいているおかげだと思います。創業当時、3名だった社員もこの7年で80名超へと増えました。スクールのインストラクターとしては、現在は約600名の方にレッスン運営に携わっていただいています。
編集部
スクールの運営はすべてbiimaさんが行われているのですか?
土井さん
いえ、地域によって現地のパートナー企業さんとアライアンスを組んで運営しているケースもあります。保育園や幼稚園、小学校や学童などで、授業やコンテンツとしてbiima sportsのプログラムを導入していただいているケース、また我々から指導者を派遣させていただいている教育機関等を含めると、現在、約70社のパートナー企業さんとお取引させていただいています。
ゴールドジムさん、ティップネスさんなどに総合スポーツプログラムのコンテンツを提供している例もありますし、プロのスポーツクラブの皆さんとも積極的に連携させていただいています。
他には、Jリーグのガンバ大阪さんと共同で、ホームスタジアムであるパナソニックスタジアム吹田の施設を使った「biima sportsパナソニックスタジアム吹田校」を開校しています。また、埼玉西武ライオンズさんともパートナーシップ契約を締結しています。
編集部
プロスポーツクラブ関連のスクールなんて、ファン・サポーターの子どもたちにとっては最高ですね。ゴールドジムのようなフィットネスクラブは大人向けという印象があるのですが、そこで子どもがスポーツを学べるのは新たな導線にもなりますし、biimaさんも各ジムもWin-Winなのではないでしょうか。
土井さん
ありがとうございます。私たちは様々な場所で子どもたちに私たちのプログラムを提供したいと考えているんです。ですので、先ほど申し上げた通り、各ジム様以外に幼稚園や保育園、学童保育、小学校などにもコンテンツとして導入させていただいたりもしています。
各教育機関の先生方への研修や教育者を志望する大学生向けのセミナーも行っていますし、すべての子どもたちに開かれた教育の場をコンセプトとした「biima sports free school(ビーマ・スポーツ・フリー・スクール)」というインクルーシブ教育イベントを、児童養護施設や発達に特性をもったお子様向けにも開催しています。
編集部
大学の研究者と共同開発したプログラムという優位性に、体験できる場所を広げていく営業努力はもちろんなのですが、「せっかくいいプログラムなのだから、できるかぎり多くの子どもたちに体験してもらいたい」というbiimaさんの理念を感じました。
それは日本各地で協力してくださる皆さんも感じているかと思いますし、こうした姿勢が「biima sports」の急激な規模拡大につながっているのでしょうね。
新入社員の熱意により、夢の保育園設立プロジェクトを実現
編集部
さて、もうひとつの大きな事業である「biima school」についてお話しいただけますか?
土井さん
「biima school」は、「biima sports」の総合スポーツプログラムを取り入れた保育園事業です。子どもたちに様々なスポーツを体験してもらうと共に、非認知能力プログラムも実施しています。
また、国語・算数といった認知系の教科を小学1年終了時まで先取って学習できるほか、さらに21世紀型のアート教育・音楽教育を併せて提供しています。
編集部
ウェブサイトを拝見すると、2020年に芝浦アイランド校を開園され、2024年春には吉祥寺校が新たに誕生するそうですね。
土井さん
はい。そもそも自社で保育園を運営するというのは、創業時からの悲願だったのですが、開園はもう少し先の想定でした。それが2020年に実現したのは、当時内定者だったある社員の言葉がきっかけだったんです。
彼女はもともと保育士志望でした。大学時代に実習でいろいろな保育園に赴く中で、「biimaの理念を実践するような保育園を自分で作りたい」と、弊社に入ってきたんです。
編集部
内定の段階からそんな壮大なビジョンを語られたんですか。それは相当な熱意ですね。
土井さん
ええ。それで、結果的に私たちも、そんな彼女の「やりたい!」という思いに動かされるかたちで、想定よりも早く保育園事業へのトライを開始することにしたんです。
また、ちょうど同時期に、のちに弊社の社員となる当時大手企業で活躍されていた方もこのプロジェクトに関わってくれて、一気に進みました。
その後、彼女は入社1年目から主担当としてプロジェクトに取り組み、2020年の「biima school芝浦アイランド校」の開園に漕ぎ着けました。現在は入社5年目ながら、園運営の全体をマネジメントする立場についています。
通常、保育園は定員に達するまで、おおよそ10年を要するといわれているのですが、芝浦校は2年目でほぼ全学年が定員となりました。この芝浦アイランド校の成功と、彼女をはじめとする多くの先生方が現場で蓄積してくれた知見が、2024年春の「biima school吉祥寺校」の開園につながったと考えています。
▲スポーツエリアとラーニングエリアを完備した「biima school吉祥寺校」は2024年春に開園予定
編集部
今回、biimaさんには「若手社員が活躍できる企業」として取材をさせていただいていますが、まさに象徴的なエピソードですね。
土井さん
ありがとうございます。ちなみに、今日取材に立ち会ってくれている樋口は今年4年目なのですが、コーチの採用や育成部門のシニアマネージャーを担当しています。管理職に近い責任あるポジションですが、がんばって成長機会に変えてくれればうれしいと考えています。
編集部
これまでは若手社員のなかでも新卒の皆さんについてお話しいただきましたが、経験者の皆さんのお仕事ぶりはいかがですか?
土井さん
30代前半のメンバーの入社も最近増え始めています。中途入社の方々は現在15名ぐらいです。大手通信会社やコンシューマー系のWebマーケティング、営業特化型の人材派遣会社での管理業務など、多様なバックボーンを持つ皆さんに来ていただいています。
その中には、教育に興味をもって転職された方もいれば、これまでの社会人経験で培った専門的なスキルを新しいステージで活用したいという方、幼児教育にとどまらず広い意味で社会貢献がしたいと考えている方など、ビジョンも人によってさまざまなんですよ。
そんな中途のみなさんと新卒のみなさんが、今いい具合に協力し合い、それぞれ心地よく働ける職場環境になっているのではないかと思います。
若手社員の活躍は、ミッション面談で社員の「WANT(やりたい)」を叶えていく姿勢にある
▲フラットな雰囲気で、上下・社歴関係なくやりたいことに取り組める文化がある
編集部
社内全体に、自分自身がやりたいこと、チャレンジしたいことを後押しするカルチャーのようなものを感じますね。
土井さん
そう言っていただけると嬉しいですね。弊社には、具体的な「WANT」を強烈に持った社員が一定数います。たとえば学校を作りたい、あるいはスポーツを教えたい、はたまた人材育成に貢献したいなどといった想いを持っているんです。
その一方で、はっきりとした「WANT」ではなく、この環境で成長したい、何かしらのチャレンジをしたいという思いを持っているメンバーも半数ぐらいはいると思います。
弊社では、各メンバーが社内でどんな役割を担うのかを認識し、自分の想いに気づいたり軌道修正したりできる機会として「ミッション面談」というものを設けています。
この面談では、半年間を振り返り、3年後・5年後の中長期的なビジョンを聞くほか、次の半年間ではどんな部署でどんな仕事をしたいかを上長や経営陣と1on1に近い形で話し合います。その結果、マネジメント志望だった社員がプレーヤーとして上を目指したり、未知の領域への挑戦を表明したりすることもあります。
編集部
実際に半年に一度、社内で上長や経営層の皆さんと向き合う立場として、樋口さんは「ミッション面談」をどう受け止められていますか?
同席された樋口さん
会社では日々目の前の業務に向き合っていますので、自分を俯瞰してみることができないですし、とくに1、2年目は仕事の成果がすぐに出ることもないので、どれだけのことができたか自分でもわからないのが正直なところです。
「ミッション面談」では、我々を定点観測している上長や経営層が、定量的な「できた/できていない」を判断してくれるし、成長度合いや伸びしろについて定性的に言及されたりするので、緊張はしますが貴重な機会ですね。
半年間の積み重ねを正しく振り返ることができますし、自分の成長の痕跡を感じ取れる機会になっていると思います。
編集部
ありがとうございます。まさに、実際にミッション面談を体験されている方からのリアルな体験談で、緊張感がありながらもキャリアにとって有用であるということがよく分かりました。
教育はもちろん未知の領域でも、WANT(やりたい)を持つ人材を重視
編集部
では最後に、この記事をご覧になって御社に興味を持たれた方にメッセージをお願いします。
土井さん
biimaは今、子どもたちや家族の人生を豊かにするための世の中の下地を作り、きっかけを与えるための様々なサービスを提供しています。教育を中心に我々が現在展開している事業に興味を持たれた方にぜひエントリーしていただきたいです。
そしてまた、今まだ我々が着手していないような事業でも、ご自身がbiimaに入ってチャレンジできるんじゃないかというようなビジョンをお持ちの方も待っています。弊社には、そうした想いに共感して一緒に取り組んでくれる仲間がたくさんいます。
年齢や経験は関係ありません。僕らは縦も横も非常に仲良くフラットに働ける環境を実現できていると思います。
教育関連に強い熱意がある方はもちろん、ご自身のスキルを活かしてそれらを支えたい方、あるいはまったく未知の領域にチャレンジしてみたい方、具体性はなくても強烈な「WANT」のある方は大歓迎です。ぜひとも、エントリーしていただけるとうれしいと思っています。
編集部
「できること」と「やりたいこと」について、入社してから柔軟に選択できるというのは、素敵な働き方ですよね。まるで「総合スポーツ」に取り組んだ後に得意な種目を見つけていくようで、biimaさんには多様な方々が集まってくるのではないかと感じました。本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社biima:https://biima.co.jp/
採用ページ:https://biima.co.jp/sports/recruit/