独自のビジネスを展開し成長を続けながら、インターン生を積極的に受け入れるなど、若い人材を育てている企業にインタビューする本企画。今回は、リアルタイム遠隔就労支援プラットフォームの開発・運営を手掛けている株式会社ジザイエにお話を伺いました。
リモートワークが不可能な仕事を遠隔で「自在化」するジザイエ
▲これまでリモートワークが不可能だった業種の働き方を変える力を秘めている「JIZAIPAD」
2022年11月に設立された株式会社ジザイエは、リアルタイム遠隔就労支援プラットフォーム「JIZAIPAD」というサービスを展開しています。
正式版サービスは2023年9月にリリースされ、これまでリモートワークが不可能だとされてきた建設業や製造業などの現場の働き方を変えるようなソリューションを提供しています。
会社名 | 株式会社ジザイエ |
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住所 | 東京都千代田区大手町1-6-1 大手町ビル5F Inspired.Lab |
事業内容 | リアルタイム遠隔就労支援プラットフォーム「JIZAIPAD」の開発・運営および関連サービスの提供 |
設立 | 2022年11月 |
公式ページ | https://jizaie.co.jp/ |
従来の働き方を変えるようなインパクトのあるサービスを展開している株式会社ジザイエは成長を続けており、採用に力を入れています。また、積極的にインターン生を受け入れており、成長の原動力としているのです。
同社の成長の要因やインターン生の活躍ぶりについて、取締役副社長の太田知孝さんにお話を伺いました。
リアルタイム遠隔就労支援プラットフォーム「JIZAIPAD」
▲現場にいなくても、まるで現場で作業をしているような体験が味わえる「JIZAIPAD」(公式ページより)
編集部
初めに、ジザイエさんの事業内容について伺わせてください。
太田さん
ジザイエが展開しているのは、リアルタイム遠隔就労支援プラットフォーム「JIZAIPAD」です。JIZAIPADは、工場や建設、警備、福祉などのリモートワークが不可能だとされてきた現場での活用が想定されています。
ジザイエが目指しているのは、現場の状況を広角・高画質のカメラでリアルタイムに映し出し、現場にある機械やロボットを遠隔で操作しながらも、まるで現地にいるかのように働ける世界です。
JIZAIPADを活用することで、例えば「せんべいを焼いている菓子工場で、せんべいが焦げていないか見守る」「一時間に数台しか通らない道路の工事現場で自動車の誘導をする」といった業務が、リモートで可能になるでしょう。
JIZAIPADはジザイエのFounder兼Chairmanでもあり、東京大学 総長特任補佐・先端科学技術研究センター 副所長 / 教授の稲見(昌彦さん)と共同で開発してきたサービスになります。出資元にはコベルコ建機さんもいらっしゃるので、今後は建築の現場でも活用していくでしょう。
編集部
JIZAIPADのコンセプトを一言でいうと何になるのでしょうか?
太田さん
JIZAIPADのコンセプトはサービス名にも表れていますが、ずばり「自在化」です。自在化というのは単に「現場の状況をカメラで見て遠隔操作する」というものではなく、まるで実際にその現場にいるような臨場感がなければ実現しないと考えています。
ですので、カメラの画質にこだわっていますし、映像に遅延が発生しないよう開発を進めています。
また、機械の操作でいうと操作しやすさにこだわるのはもちろん、例えば穴を掘ったときの「ガリガリ」という音や、振動が伝わるような仕組みを実現することで、カメラで見ているだけでは実現できない体験を届けていけたらと考えています。
編集部
まさに、多くの人が描いた未来の社会の姿ですね。実際に実現しそうなことに驚きました。
JIZAIPADが作り出す新たな就労の機会、就労人口増加が期待される
▲「JIZAIPAD」は新たな就労チャンスを作り出す効果も期待されている(公式ページより)
編集部
JIZAIPADを活用するクライアントはどんなメリットを得ることができるのでしょうか?
太田さん
現場までの移動時間がなくなるという点が、JIZAIPADを活用することで得られるメリットだといえるでしょう。例えば、現場での2時間の作業のために、2時間かけて現場に行くという状況が建設業界には存在しています。
移動時間をなくすことで人件費をおさえることにもつながりますし、移動時間の分を業務時間に充てることで人手不足を解消できるのです。
編集部
これまで効率化が難しかった分野に切り込むようなサービスだといえるのですね。ジザイエさんが掲げているミッションについてもお教えください。
太田さん
ジザイエが掲げているミッションは「すべての人が時空を超えて働ける世界へ」です。JIZAIPADは就労人口を増やすことも期待できます。
日中に活動することが難しく夜間であれば活動できる方や怪我などで一時的に療養している方でも、遠隔技術を活用して現場で仕事ができる機会があれば、それだけ就労のチャンスが増えるでしょう。例えば、夜間の農園の監視といった部分でもJIZAIPADを展開することができます。
編集部
JIZAIPADには働き方の幅を広げる力も秘められているのですね。
成長過程にあるため、積極採用中!業務拡大でオフィス移転も
▲業務拡大に伴いオフィスを移転した
編集部
ジザイエさんには現在何名ほどの社員さんが在籍されていらっしゃるのでしょうか?
太田さん
ジザイエには現在、15名ほどの社員が在籍しています。平均年齢は33~35歳ほどです。年齢が高いほどマネジメントの立場にいるということもなく、フラットな組織だといえるでしょう。
また、JIZAIPADについて大変好評を得ていまして、エンジニアや営業メンバーを増やしていかなければならないという状況です。月に1~2人ぐらいのペースで採用を進めていきたいですね。
編集部
まさに成長の過程にいらっしゃるジザイエさんですが、つい最近オフィスを移されたそうですね。
太田さん
ジザイエは業務拡大に伴い、2023年6月にオフィスをInspired.Lab内で拡張しました。Inspired.Labはベンチャー企業と大企業が一緒に入居しており、さまざまなコラボレーションが生まれているコワーキングスペースです。
実際にInspired.Labでコミュニケーションしたことがきっかけで、現在取引させていただいているお客様もいらっしゃいます。オフィス移転がビジネスに好影響を生んでいますね。
「技術ではなく人が主体」、成長を続けるジザイエが大切にしている姿勢
編集部
近年、AIの活用が一つの流行になっていますが、JIZAIPADを活用する上でもAIの技術が必要になってくるのでしょうか?
太田さん
JIZAIPADでは、人の感覚を大事にしつつ、適切なAIのアシストを組み込んでいくイメージになります。あくまで人が主体で、例えば人が判断する必要のない単純作業や長期間の状態監視などはAIに任せるといった形です。
また、JIZAIPADを活用することで、これまであまりデータ化されてこなかった人の感覚のデータをデータ化していくことも目論んでいます。その先には徐々に人の感覚もAIにより再現ができるようになっていくかもしれません。
編集部
「自在化」というJIZAIPADのコンセプトにも表れている通り、あくまで人の感覚が重要であるというジザイエさんの姿勢が見えますね。
太田さん
稲見もよくいっていることなのですが、ジザイエとしては単純にAI化したり遠隔化したりすれば良いのではなく、いかにユーザーにリアル感を届けていくかというのが大切になってくると考えています。
遠隔で単にボタンを押せば完結してしまうだけでは、どうしても作業にゆるみが出てしまうと思うのです。
ですので、遠隔で働いていてもユーザーのモチベーションを上げていくような自在化技術を確立することを目指しています。
編集部
主体は技術ではなく、あくまで人にあるということですね。
全く同じサービスを展開している競合はいない、独自性の高いサービス
編集部
ジザイエさんのサービスはかなり独自性が高いものだと感じるのですが、競合企業は存在するのでしょうか?
太田さん
ジザイエと全く同じサービスを展開している競合企業というのは存在しないと思います。ただし、弊社の事業を細かく切り取っていくと、近いサービスを展開されている他社様はいらっしゃるでしょう。
例えば、私たちのサービスはカメラを使用しますので、監視カメラ関連のサービスを展開されている企業様とは事業領域が重なります。ほかに遠隔操作という視点でみていくと、建機メインでサービスを展開されている企業様もいらっしゃいますね。
全く被ることはないものの、事業ごとに少しずつ被っている会社があるという認識です。
編集部
監視カメラと遠隔操作のサービスを合わせた独自性のある事業を展開されているといえますが、やはりこれまでにはなかったものですのでニーズも高いのではないでしょうか?
太田さん
JIZAIPADへのニーズの高さは感じていますね。ジザイエと一から遠隔操作のシステムを構築したいというクライアントもいらっしゃいますが、最も多いのは「これまでジザイエと同じような取り組みを進めていたものの、うまくいかないので頼みたい」というケースです。
JIZAIPADの人の感覚を重視した操作性にニーズをいただいています。
編集部
独自性があるがゆえに、かゆいところに手が届くサービスを展開できているのですね。
今後は人材マッチングサービスの展開も視野に。社会を変える役割を担いたい
編集部
今後の事業の方向性について伺わせてください。
太田さん
JIZAIPADは今のところ建設業や警備業、福祉関係の事業での活用が見込まれていますが、今後は人がわざわざ現地に行かなくても成立する仕事であれば、ある程度どんな現場でも活躍できるのではと感じています。
例えば、ダムの監視という業務でもJIZAIPADを生かすことができるでしょう。ダムのある場所はネットワーク環境が悪いため、監視のために人が現場に行っているようです。JIZAIPADはそんな現場でも活用することができます。
また、さきほどお話ししたように、JIZAIPADは新しい就労機会を生む可能性を秘めています。ですので、新しい就労の機会を求めている人材と企業を結びつけるようなマッチングサービスもゆくゆくは展開していくのではないかと思います。
編集部
ジザイエさんの展望を伺っていると、JIZAIPADによって社会の在り方さえも変わるのではないかと感じます。ニーズが企業だけでなく官公庁にも広がっていく予感がするのですが、その点はいかがでしょうか?
太田さん
内閣府では現在、ムーンショット目標という社会の姿を描いています。ムーンショット目標1では、「2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現」することを目指しているようです。
アバターやロボットを遠隔操作する社会が想定されていますので、ジザイエとしてもこれから採用を積極的に行って人材を増やし、いずれはムーンショット目標の研究メンバーとして計画に参画していければいいですね。
編集部
すでにJIZAIPADというサービスがあるため、2050年までのムーンショット目標の達成というのも現実のものとしてイメージしやすいと感じました。
ジザイエについて深く知ってもらうためインターン生受け入れ
編集部
ジザイエさんではインターン生を積極的に受け入れているとのことですが、どの学年の学生さんが多いかということと、どういった職種で募集しているかをお教えください。
太田さん
ジザイエのインターンでは、大学4年生、または大学院生の方が活躍していますね。参加するタイミングとしては大学3年生ぐらいからという方が多い印象です。
募集している職種は基本的にエンジニアですが、ディレクターについても受け入れています。エンジニアについてはRuby on Railsでプログラミングをしてもらうか、エッジの中の最適化を手伝ってくれるかという2パターンになります。
ディレクターについては、弊社と似ているサービスを触ってもらったり、実際にクライアントのもとに行ってJIZAIPADについての所感を聞いてもらったりしています。
それらをもとにJIZAIPADの改良を務めていくことになりますので、ディレクターのインターン生には「開発の卵」を集めてもらう役割を担ってもらっているといえるでしょう。
編集部
インターン生を積極的に受け入れている理由は何でしょうか?
太田さん
学生さんにジザイエについて深く知ってもらいたいというのが、インターン生を受け入れている理由です。やはり、合同説明会といった形だと私たちのことをしっかり知ってもらうことは難しいと考えています。
インターンでその会社を気に入ればそのまま入社するというケースも多いと思いますので、採用のためにも積極的にインターンを実施しています。
同席の広報担当の渡邉さん
私はジザイエのインターン1期生で、実際に入社しています。
編集部
採用のためにインターンを実施されて、実際に入社された実績もあるのですね。ジザイエのインターンではどのようなスキルを持っていれば活躍できるのでしょうか?
太田さん
プログラミングの技術がある程度あれば、場合によっては即戦力としていきなりコードを一緒に書いてもらう機会はあると思います。
ただ、高い技術がなければ受けられないということでもなく、プログラムを書いていて興味が強い方であれば一緒に学んでいける環境にあるでしょう。
インターン生が主体となって合宿を企画、主力として活躍中
編集部
ジザイエさんのインターンの流れについて伺わせてください。
太田さん
ジザイエのインターンでは、まずはある程度仕事を覚えてもらう期間を設けています。その期間後は、エンジニアとディレクターどちらで参加するのか、エンジニアとして参加する場合はどういった役割を担いたいのかというところを学生さんとすり合わせます。
実際に、エンジニア志望で参加してきた学生さんがディレクターに転換したというケースもありました。
もちろん必ず希望を叶えられるというわけではありませんが、興味がある分野に近い仕事をやってもらった方が高いパフォーマンスを発揮できると思いますので、なるべく本人の希望に沿った形で参加してもらうようにしています。
編集部
参加後は業務以外に学べる機会というのも設けられているのでしょうか?
太田さん
ジザイエではインターン生も参加する勉強会を実施していますし、技術書の購入補助制度もあります。また、2023年の8月に、1週間ほど熱海で開発合宿というのも行われました。こちらの合宿の企画はインターン生が主導で進められ、かなり技術が伸びたそうです。
編集部
インターン生が主体的に学べる環境があるということですね。インターン生の実際の活躍ぶりについてはいかがでしょうか?
太田さん
ジザイエは社員数が多いわけではありません。その分、インターン生が会社にとって大きな力となっています。
エッジがシステムとして止まっていないかを監視するシステムがありますが、これはインターン生が主力となって作ったものです。
編集部
インターン生も会社の主力として活躍しているのですね。
「こういうことをやりたい」を伝えられるのがジザイエメンバーの特徴
編集部
ジザイエさんでは一部リモートワークを導入されているとのことですが、インターン生についてはいかがでしょうか?
太田さん
インターン生については、参加してしばらくは出社してもらっています。ある程度期間が経ったら、家で作業できる分に関してはリモートワークをしてもらっても構いません。
会社の姿勢としては、全員リモートワークをする必要はないと考えています。弊社のサービスは速いスパンでお客様からフィードバックをもらって開発を進めていかなければなりませんので、対面で話さないとコミュニケーションが遅れてしまう可能性があるのです。
ですので、ご家族の事情で出社が厳しいという場合以外は、基本的に出社をしてもらっています。
編集部
活発にコミュニケーションを取るという社風が伺えますが、インターン生も含めどんな方が多いでしょうか?
太田さん
ジザイエではコミュニケーションを重視していますが、だからといって飛び切り元気な方が多いというわけではなく、「こういうことをやりたい」というのを伝えられるメンバーが多いのかなと感じています。
インターン生同士でゲーム会をしているという話も聞きますし、一緒にご飯に行く機会もメンバー同士でありますので、働きやすい環境にあると思います。
編集部
普段から自然なコミュニケーションを取っているからこそ、メンバー同士が意見を言い合えるのですね。
求めるのは自分の意思をはっきり外に出せる人材
▲「カジュアル面談も実施しているので、まずは問い合わせてほしい」と話す太田さん
編集部
ジザイエさんが求める人材像についてお教えください。
太田さん
ジザイエは「Positrons」「Owners」「Artisans」「Vanguards」という4つのバリューズを掲げています。
これらのバリューズに照らし合わせると、自分から「こうしたい」というのを伝えて、自分から人を巻き込んでいき、自分から「おもしろいことをやってみよう」と声を上げられる方が弊社の求める人材です。
私たちはメンバーに対して「空気を読みなさい」という姿勢は取っていません。空気を読むのではなく、自分がやりたいことをやって、「こうすべき」というのをしっかりいえる人というのが弊社に合っていると思います。
編集部
自分の意思をしっかり持ち、それを伝えていける方を求めているということですね。最後に、ジザイエさんに興味を持っている方に向けてメッセージをお願いいたします。
太田さん
「自分はこういうスキルを持っていて、こういうことに興味を持っていて、こう働きたい」という思いがあれば、弊社のメンバーが一緒になって考えてくれます。
会社の説明をさせてもらって、気に入ったら選考を受けてもらうというカジュアル面談も実施していますので、ジザイエの事業に興味を持った方には、まずは問い合わせていただきたいですね。
社会課題を解決したいという思いを持った方のご応募をお待ちしております。
編集部
ジザイエさんの事業と重なり合う興味分野を持っている方であれば、自分のやりたいことを突き詰めながら活躍していけると感じました。本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社ジザイエ:https://jizaie.co.jp/
採用ページ:https://recruit.jizaie.co.jp/