人材の育成環境や若手の登用方法などで注目すべき企業を紹介する本企画。今回は土地活用の提案を通じて人と空間をつなぎ、地域に持続的なにぎわいをもたらしている株式会社フィル・カンパニーにインタビューを行いました。
株式会社フィル・カンパニーの企業概要:独自の土地活用ソリューションを展開
2005年6月に設立された株式会社フィル・カンパニーは、「空中店舗フィル・パーク」とガレージ付賃貸住宅「プレミアムガレージハウス」の2つのソリューションを土地活用にお困りの土地オーナー様へ提案しています。企画・設計・施工・テナント誘致までをワンストップで提供することが特徴です。
2016年に東証マザーズに上場し、2019年に東証一部に市場変更。2022年に東証プライムへ移行しました。2023年には、フィル・カンパニーグループのサスティナビリティ宣言として「世界中の『むずかしい土地』をゼロに。」を掲げ、持続可能なまちづくりの実現を目指しています。
会社名 | 株式会社フィル・カンパニー |
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住所 | 東京都中央区築地3-1-12フィル・パークTOKYO GINZA Shintomi Lab. |
事業内容 | 「空中店舗フィル・パーク」等、空間ソリューション事業 |
設立 | 2005年6月 |
公式ページ | https://philcompany.jp/ (コーポレートサイト) https://philpark.jp/(「空中店舗フィル・パーク」サービスサイト) https://premium-garage.co.jp/(「プレミアムガレージハウス」サービスサイト) |
株式会社フィル・カンパニーが展開している「空中店舗フィル・パーク」と「プレミアムガレージハウス」の2つの事業について、概要を伺いました。また、「経験量」と「思考量」の多さで人材を育成する独自の環境や、若手の活躍状況、メンバーが感じているやりがい、そして人事評価制度の考え方についてお聞きしました。さらに、採用のポイントについてもお話いただきました。
フィル・カンパニーの主力事業:土地オーナーへの革新的な活用提案
編集部
最初にフィル・カンパニーさんの事業概要についてご説明をお願いいたします。
村川さん
私どもは、株式会社フィル・カンパニーを親会社とするグループ企業です。私が代表取締役を務める株式会社ストラボをはじめ、株式会社フィル・コンストラクション、株式会社プレミアムガレージハウスなどの子会社があります。グループ全体として、土地オーナー様への土地活用提案を主力事業にしています。
具体的なサービスは「空中店舗フィル・パーク」事業と「プレミアムガレージハウス」事業の2つです。フィル・パークは、コインパーキング上部の未利用スペースを空中店舗として活用する提案です。
プレミアムガレージハウスは、ガレージ付き賃貸住宅のことで、郊外の土地を所有している土地オーナー様へのご提案です。一般的なアパートやマンションには不向きな土地でも、車やバイクの利用を前提とした大きなガレージ付きの住宅を企画できます。これは、ガレージライフを楽しみたいユーザーにとって魅力的な賃貸物件となります。
編集部
どちらの事業も、従来にはない土地活用提案ですね。
村川さん
そうです。弊社のメインのお客様は土地オーナー様ですが、土地オーナー様だけでなく、ご入居者様や、その建物が立地する地域の方々にも価値を提供できるソリューションとしてご提案しています。
編集部
関わる方すべてとWin-Winの関係を築くのですね。
村川さん
はい。フィル・パーク事業を例に説明しますと、都心部のコインパーキングは便利な場所にあることが多く、地域の利便性を高めています。しかし、夜間は暗くなり不安を感じる方もいます。そこで、上部の空間を活用して建物を建て、お店を営業することで夜間の明るさを確保し、地域の安全性を高めます。
また、駅前の大型ビルへの出店が難しいテナント様や、雑居ビルには出店したくないという方々にとって、フィル・パークは最適な選択肢となります。
このように、テナント様に出店の機会を提供し、地域の方々に便利で安全な環境をもたらし、そして土地オーナー様にも収益をもたらすことで、すべての関係者に喜んでいただけるビジネスモデルを展開しています。
フィル・カンパニーの業務体制:2名体制を基本としたグループ連携
編集部
フィル・カンパニーさんは基本的に、「営業担当」と「企画担当」の2名で土地オーナー様からの案件相談を担当する業務体制だと伺いました。
村川さん
確かに2名体制での対応が基本です。ただし、すべてを2名で対応しているわけではありません。2名だけでは対応しきれない案件も多いため、臨機応変に対応しています。
例えば、社内の建築士と連携することがありますし、契約段階に進めば法務や財務の担当者との協力も必要になります。プロジェクトの基本的な対応は2名で行いますが、必要に応じて他のメンバーも関わりながら着実に進めています。
村川さん
特に、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着き始めたタイミングで、土地オーナー様からの新たなお問い合わせが増加しています。そういったお客様に満足いただけるサービスを継続的に提供するには、「今よりもさらに効率化する必要がある」ということも社内で議論しています。とにかく柔軟により多くのお客様に価値提供するということに焦点を当てています。
フィル・カンパニーの新入社員育成:集団研修からOJTへの段階的アプローチ
編集部
では次に若手の活躍について伺います。フィル・カンパニーさんのメンバーのうち20代から30代前半の方は、どれくらいいらっしゃいますか。
村川さん
グループ全体では約44%となっております。
編集部
新しく入社された方には、どういったキャリアパスがあるのでしょうか。
村川さん
新卒を例に挙げますと、まず、いきなり顧客訪問などはありません。最初の1-2カ月は集団研修です。その後、部署に配属され、そこから先はOJT(実務を通じた訓練)がメインになります。先輩社員への同行や、先輩の隣席で業務を行うことで、実際のビジネス環境の中で、ビジネスパーソンとしての素養を身に付けてもらっています。
編集部
OJTが始まってからの育成期間は、人によって違ってくるのでしょうか。
村川さん
はい、そうですね。早い方は半年ほどで、1人で外出する機会が増えます。これはその方の成長度合いや所属部署の状況、担当している業務内容などによって異なります。
ただし、早ければいいとは考えていません。個々の適性や環境、状況などに応じてキャリアプランを設定しています。弊社はグループ全体でまだ67人ほどの規模です。新人1人ひとりに目を向けられることが、当社の強みだと考えています。
実践型集団研修:土地オーナーの課題解決を通じたビジネス理解
編集部
入社後の集団研修はどんな内容なのでしょうか。
村川さん
一般的なビジネスパーソン向けのマナー研修も行っていますが、メインは課題を解決する実践型研修を実施しています。フィル・パーク事業とプレミアムガレージハウス事業は、どちらも新しいビジネスモデルなので、まず社員にはビジネスの全体像を把握してもらいたいと考えているからです。
弊社では、単に契約を結ぶことだけを目的とせず、土地オーナー様を中心としたステークホルダーの課題解決がビジネスの根本だと考えています。そのため、課題を解決するための思考法や方法論を実践的に学ぶことを重視しています。
フィル・カンパニーの仕事の魅力:1からの企画立案と実行による成長
編集部
フィル・カンパニーさんで仕事をしているメンバーのみなさんが、実感しているやりがいについてお聞かせください。
村川さん
弊社では「今ないものを1から作る」という考え方を非常に大切にしています。クリエイティビティや創造性を重視し、そこにかなりこだわっています。例えば土地オーナー様に提出する弊社の提案は、その1件ずつがすべてオーダーメイドです。既存の企画を並べ替えたり、組み替えたりしているのではなく、一から新しい提案を作り上げています。
このやり方は、きめ細かな提案が可能ですが、工数がかかります。それでもオーダーメイドの方針を変えるつもりはありません。
私はこのことを、非常にありがたいと思っています。お客様ごとに企画を1から考えさせてくれ、その実行までを責任持ってやらせてもらえる。1人のビジネスパーソンとして、間違いなく数多くの経験を積めます。ここがフィル・カンパニーで働くことの一番のやりがいだと思っています。
村川さん
私はフィル・カンパニーのビジネスの特徴は、お金の流れがよく見えることだと思っています。土地オーナー様が弊社と契約を交わす際、多くの場合は金融機関からお借り入れをされます。その資金で建物を建て、テナント様を入れて、テナント様から資金を回収するというビジネスモデルになります。つまり事業をする為の資金調達から売り上げ、利益を得るという流れを、一気通貫で経験できるんです。これは非常に価値のあることだと思っています。
しかも私どもは、テナント様とも接点を持ちます。テナント様も開業資金を金融機関から借り入れるケースが多く、初期費用をそこから捻出されます。店舗の内装を行い、集客活動を行い、売り上げを立てて利益を出すわけです。つまりフィル・パークのビジネスモデルは、土地オーナー様のビル経営とテナント様の店舗経営の両方に関わるんですね。
学生時代の先輩や同期とよく話をしますが、弊社のようにお金の流れや人の流れ、物の流れの全てをリアルで体験しているという話はほとんど聞きません。こういったことを経験できる会社は、あまりないのだろうと思っています。これが弊社で仕事をすることの、面白さだと強く実感しています。
フィル・カンパニーの若手育成戦略:豊富な経験と深い思考の機会提供
編集部
村川さんは新卒4年目で子会社の代表取締役に抜擢されています。フィル・カンパニーさんには、若手を育てる良い環境があるのだと思いますが、その点はいかがでしょうか。
村川さん
その通りです。2つの特徴があります。1つ目は「経験量」です。弊社は土地オーナー様とテナント様のビジネスに1から10まで常に寄り添い、時にはさらに踏み込むこともあります。ここで得られる経験の量は相当なもので、短期間で他社では経験できないような量を積むことができます。これが若手育成の非常に良い環境になっています。
2つ目は本気で考える「思考量」の多さです。例えばテナント様とのコミュニケーションでは、主に経営層とやり取りをします。経営層の方々は自身の意思ですべてを決定するため、常に真剣勝負をされています。そのため、私たちも本気で考えざるを得ません。これは土地オーナー様とのコミュニケーションでも同様です。結果として、本気で考える思考の量が膨大になる環境が整っているのです。
若手の抜擢事例:新卒2年目社員の広報部門立ち上げ参画
編集部
フィル・カンパニーさんでは他にも多くの若手社員が活躍されていると思います。その状況をお話しください。
村川さん
例えば2023年度に広報部門の立ち上げメンバーとなり、すでに活躍している女性社員は、2022年度に新卒で入社した2年目の若手です。彼女は1年目の終わりに、広報立ち上げに立候補して抜擢されました。また私の部署にいる入社3年目の女性社員は、当初2年間は営業サポートでした。しかし今年、営業担当に抜擢したところ、すぐに頭角を現しました。今では中途入社した年上社員のマネジメントも任せています。
フィル・カンパニーでは、社歴や年齢、性別は基本的に関係ありません。任せられる人には、どんどん仕事を任せるという組織風土なんです。ですから大活躍している女性社員はかなり多いと思いますよ。
編集部
例えば今ご紹介いただいた、入社2年目で広報立ち上げに抜擢された女性社員ですが、この方の活躍を支えるために会社はどんなサポートをしているのですか。
村川さん
弊社の広報PR部門は今まさに、本格的な体制を構築し始めた段階なんです。そのためにPR専門会社をパートナーに迎えたり、この道で実績のある方に中途入社いただいたりしています。入社2年目の女性メンバーはこのチームの一員として、レクチャーや質疑応答などによるOJTで鍛えられていると思います。
さらに補足をすると、彼女が広報に抜擢された最大の要因は、入社した1年目にフィル・カンパニーグループをものすごく勉強し、理解したことなんです。これが大きい。1年目にやるべきことをやった上での2年目なんですね。今学んでいる広報のスキルは、すぐに活きてくると思います。彼女にとっては、この道のプロ達と日々ダイレクトにコミュニケーションを取っていることが、何よりの成長環境になっています。
フィル・カンパニーの柔軟な評価制度:若手の可能性を引き出す抜擢文化
編集部
では続いて、評価制度について伺います。フィル・カンパニーさんではどのような価値観で人事評価を行っているのでしょうか。
村川さん
弊社にも評価制度はもちろんあります。ただ私は個人的に、明確な評価制度がないからこそ、抜擢の機会があるのではないかと考えています。明確な評価制度があれば、私は恐らく4年目で子会社の代表取締役を務めることはなかったでしょう。少なくとも私の場合、「定量的にこういう功績があったので評価した」というような基準は当てはまらないように感じています。
ただし、評価されたポイントが1つあるとすれば、それは先ほど申し上げた経験の量です。これは自分でも自信を持っている部分です。
村川さん
加えて、弊社は現在、大きな成長段階にあります。対応させていただく土地オーナー様の数が増えていますし、提供するサービスももっと拡充したいと考えています。弊社の事業は将来的に、フィル・パークとプレミアムガレージハウスの2つだけに留まらないだろうと予想しています。
その一方で、人材が大幅に不足しているのが現状です。そのため必然的に、若手が活躍しなければならない環境になっています。その意味で今の弊社には、大きなチャンスの種が至る所にあると考えています。
フィル・カンパニーが求める人材像:思考と行動を重視する熱意ある人材
▲「大切なことは思考量と行動量」と語る村川裕一郎さん。
編集部
では最後に読者へのメッセージをお願いします。
村川さん
フィル・カンパニーは東証プライムに上場していますが、まだまだベンチャー企業の精神を持ち続けています。私たちには多くの課題があり、それらを解決するために自ら率先して行動することが求められます。その際に重要なのは、思考量と行動量だと考えています。
これは長時間労働を推奨するものではありません。「今日1日をどう過ごすか」「目の前の課題をどう解決するか」「次にどのような人を巻き込むべきか」といったことを日々熟考し、積極的に行動に移すということです。そして、得られたフィードバックを基に改善し、再び行動する。この高速なPDCAサイクルが私たちの強みだと自負しています。
このような日々の取り組みに共感し、「自分も実践してみたい」「多くの経験を積みたい」と考える方には、弊社は最適な環境を提供できると思います。そして、そういった方々は必ず活躍できると確信しています。
編集部
大切なのは日々思考して行動することですね。本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社フィル・カンパニー https://philcompany.jp/
採用ページ https://philcompany.jp/recruiting/