働き方や企業文化に特徴を持つ企業にインタビューしていくこの企画。今回は、「世の中から卒業をなくす」というミッションを掲げて、オンライン学習によって個人や企業の学び直し(リスキリング)を推進している株式会社Schooを取材しました。
株式会社Schooの企業理念:「世の中から卒業をなくす」ミッションと事業展開
株式会社Schooは、学びを通じた社会変革を目指し、個人・企業・教育機関向けのオンライン学習サービス「Schoo(スクー)」を開発・運営しています。近年では、全国27の自治体との連携や省庁との新規事業展開など、活動範囲を拡大しています。
国がリスキリング(※)を推進する現代において、時間や場所に縛られない学習環境を提供する株式会社Schooの役割は、ますます重要性を増しています。
(※)働き方の変化に対応するため、今後必要となる新しい知識やスキルを習得する取り組み
会社名 | 株式会社Schoo |
---|---|
住所 | 東京都渋谷区鶯谷町2-7 エクセルビル4階 |
事業内容 | インターネットでの学びや教育を起点とした社会変革 |
設立 | 2011年10月3日 |
公式ページ | https://corp.schoo.jp/ |
このたび、株式会社Schooの働き方や社内文化について、広報の大金さんにお話を伺いました。
Schooのサービス展開:個人から法人、自治体まで広がるオンライン学習の可能性
▲大学や専門学校に向けた学習プラットフォーム「Schoo Swing」も提供サービスのひとつ。
編集部
最初に、Schooさんの事業内容についてお教えいただければと思います。
大金さん
当社の事業内容を一言でご説明すると、オンライン学習の提供によって学びを阻害するあらゆる制約を排除し、学びの機会の提供によってさまざまな社会課題の解決を目指している会社です。
事業の始まりは個人向けオンライン学習サービス「Schoo」です。毎日の生放送授業のほか、約8,000本の幅広いジャンルのアーカイブも視聴できるのが特徴で、会員登録数は83万人と多くの方にご利用いただいています。
さらに法人向けオンライン研修サービス「Schoo for Business」や、2021年9月にリリースした大学・専門学校向け学習プラットフォーム「Schoo Swing」など、さまざまな層に向けて事業を展開し続けています。
編集部
その他にも、自治体と連携して地方創生にも取り組まれていると伺いました。
大金さん
はい、「Schoo」を活用した遠隔教育による地方創生を推進しており、現在27の自治体と連携しています。
例えば鹿児島県の奄美大島とは包括協定を結び、島内5市町村の約6万人の方々にSchooを無料で受講できる環境を提供しています。これにより住民の皆さんはスマホやPCでいつでも授業を受けられます。また、島内の専門学校生が授業の反転学習に活用したり、役所・企業の方々がオンラインで研修を受講できるようになるなど、さまざまな場面でご活用いただいています。
編集部
様々な場所で学び続ける人を増やすため、意欲的にサービスを展開されているんですね。社会課題を解決するために学びの場を提供するというSchooさんの理念は、働くことで社会に貢献したいと考える人にとって魅力的だと思います。
Schooの柔軟な働き方:フルリモートとフレックス制で実現する多様性
▲「とらわれない働き方」がSchooさんの特徴(公式サイトから引用)。
編集部
次に、皆さんの働き方の特徴についてお話を伺えればと思います。
大金さん
勤務体系としては、フルリモート勤務が可能で、11時〜16時をコアタイムとするフレックス制を導入しています。さらに、週4日勤務や雇用形態の変更も可能にするなど、メンバーに応じた「とらわれない働き方」ができることを重視しています。
当社では、業務内容に応じて入社時から変わらずリモート勤務が可能です。実際にデザイン部門の責任者も地方在住でフルリモートで働いており、他のメンバーも気兼ねなくこの制度を活用しています。
特に育児中のメンバーなど、勤務時間が不規則になることもありますが、勤怠管理はしっかりと行いながら、個々人の事情に合わせて柔軟に対応しています。
編集部
そのような柔軟な働き方を取り入れている理由はなんでしょうか。
大金さん
私たちSchooは、創業時から時間や場所に制約されないオンライン学習を広く提供することで、ミッションである「世の中から卒業をなくす」ことを目指してきました。
その目標を実現していくためには、まず自分たちの働き方が時間や場所などにとらわれてはいけないと考えたんです。忙しく働いていても、子育て中でも、地方に住んでいても学び続けることは可能です。同じように、いろいろな背景があっても働き続けられるような環境を整えることが、Schooらしさだと思っています。
編集部
Schooさんの理念の「環境にとらわれない」という点を、働き方にも反映されたということですね。時間や場所などの自由度が高い環境は、転職検討者にとっても魅力的だと思います。また、ユーザーと同じような環境で学び続けることで、サービスの改善にも活かせそうですね。
Schooユニバーシティ:オンラインで実現する社内コミュニケーションと学び合い
編集部
フルリモートかつフレックス制の環境では、直接対面して話し合う機会が少なくなりがちです。メンバー間のコミュニケーションで工夫されていることはありますか?
大金さん
コミュニケーション促進に大きな役割を果たしているのが、「Schooユニバーシティ」です。これは社内に設置したオンラインの大学のような仕組みで、自社サービスの「集合学習」機能を活用し、社員同士の学び合いや交流を促進しています。
全社員対象の「みんなで学部」では、興味のある内容のゼミに参加し、Schooの授業を受講した後にワークショップを行います。新卒向けのビジネス基礎課程や、リーダークラス向けのマネジメント学部もあります。
決まった日程に部署を超えてみんなで授業を受けることで、新しいつながりが生まれます。授業後にオンライン飲み会で内容について話し合うこともあり、Schooらしい交流の場となっています。
Schooユニバーシティは個人のスキルアップを促す福利厚生制度であると同時に、部門・部署を超えたメンバー同士のコミュニケーションを深める仕組みとしても機能しています。
編集部
日常的なコミュニケーションについてはいかがでしょうか。
大金さん
通常の業務ではSlackを使用しており、全ての部門で1on1ミーティングを必ず実施しています。テキストと会話によるコミュニケーションは非常に頻繁に行われています。
Schooの特徴は心理的安全性が高く、誰もが発言しやすい雰囲気があることです。Slack上での広報発信や新入社員の紹介には、多くのスタンプやコメントが付き、チャットが盛り上がります。
▲Slackでのやり取りが活発なのもSchooさんの特徴。
大金さん
この文化は出社時も同様です。Schooでは自分の発言に必ず反応があり、相手の意見を尊重しながら最適なゴールに向かって一緒に考える文化があります。これがオンラインでもスムーズなコミュニケーションを可能にしている理由だと考えています。
編集部
自社のコンテンツを活用した「社内大学」で部署を超えた交流ができ、さらに発言が受け入れられる雰囲気があることで、スムーズなコミュニケーションが実現できているのですね。このような環境なら、新入社員の方も馴染みやすそうです。
副業支援:美術作家や映画監督など、多彩な才能の開花
▲Schooのデザイナーとして勤務しながら、美術作家としても活躍している竹下想さん。合同会社galleryMainの代表でもある。
編集部
Schooさんの公式noteを拝見したところ、副業として別業種で活躍されているメンバーが複数いらっしゃいましたが、そのあたりについて伺えますでしょうか。
大金さん
当社は、事前に申請をおこなえば副業が可能です。多くのメンバーがSchoo以外の場で働くことで自分の可能性を広げています。実は私自身も、航空雑誌のライターやカメラマンとしての顔を持っています。
ユニークな例では、京都在住の美術作家でギャラリーを経営しながらデザイナーとして働いているメンバー(竹下想さん)がいたり、コンテンツを制作する企画ユニットのマネージャーをしながらフリーの映画監督・脚本家として制作活動をしているメンバー(田中征爾さん)がいます。
▲Schooの企画ユニットマネージャーであり、映画監督としても活躍している田中征爾さん。初長編監督作『メランコリック』は世界各国の映画祭で数々の賞を受賞。
編集部
副業において活躍されているステージが本当に幅広いですね。意識してそのような人材を集めていらっしゃるのでしょうか。
大金さん
「この人は別のジャンルで有名だから」など、そのような理由で入社してもらっているわけではありません。共通している点があるとすれば、いろいろな場所で活動をしているうちに、個々人が感じた社会課題を、Schooの理念や事業内容によって解決していきたいという思いを持って入社に至ったケースが多いですね。
会社全体で副業を含めた多様な働き方に理解があるのも大きいと思います。たとえば私も、飛行機関連の取材で地方に移動して仕事をすることがありますが、移動先からリモートで会議に参加しても「あ、今週は沖縄にいるんですね!」といった感じで温かく見守って応援してくれるんです。
それは副業だけではなく育児中であっても、週4日勤務や時短勤務であっても同じです。それぞれの立場や働き方を認め合う文化ができているので、その影響はあるかもしれませんね。
編集部
Schooさんは、いろいろな職業で活躍される方が「この会社でも働きたい」と感じる魅力を持っているということですね。各メンバーの自由な働き方を認め合う文化があるのは、労働人口が減少し続けるこれからの時代においても強みになりそうです。
※副業でも活躍されるお二人を紹介した、Schooさんの公式noteはこちら!
竹下さん:https://note.com/schoo/n/n136f520cc276
田中さん:https://note.com/schoo/n/nc1124246a9e3
Schooの企業文化:「Laboratory#105」フィロソフィーと相互尊重の精神
▲株式会社Schooのフィロソフィー「Laboratory#105」(公式サイトの採用資料から引用)。
編集部
Schooさんにはどんなメンバーが多いと感じていますか?
大金さん
Schooは現在急速に拡大しているフェーズで、2023年1月時点では200人を超えるメンバーが在籍しています。各人の経歴は多様ですが、共通しているのは「他者を尊重する」姿勢です。
当社には「Laboratory#105」というフィロソフィーがあります。これは「学習・変化・尊重」の3つの行動によってイノベーションを創出するという指針で、採用時にもこのフィロソフィーとのマッチを重視しています。
例えば、メンバー同士の議論では、自分の意見を押し通すのではなく、相手の立場を尊重しながら意見を受け入れ、より良いものを作ろうとする姿勢が社内全体に浸透しています。そのため、温和な雰囲気のメンバーが比較的多いと感じています。
▲オンラインの全社ミーティング内で実施されたMVP表彰のようす。
編集部
その他には、メンバーの皆さんに共通している部分はあるでしょうか。
大金さん
「世の中から卒業をなくす」というミッション、そして「インターネット学習で人類を変革する」というビジョンへの共感です。学習による人の変化には時間がかかりますし、当社も10年以上サービスを提供していますがまだ道半ばです。しかし、目指す未来が同じであるからこそ、一貫した方向性でサービスを展開できています。
当社では月2回の全社ミーティングを実施し、事業情報の共有に加え、ミッション等を浸透させるための施策も行っています。その一つが半期に1回のMVP表彰で、業績だけでなく「Schooらしさ」を体現しているメンバーも表彰しています。
この仕組みにより、各メンバーは自分の仕事がSchooのミッション・ビジョン・フィロソフィーに沿っているかを確認する機会が増え、「次は自分が受賞したい」というモチベーション向上にもつながっています。
経営陣から社員まで、全員が学び続ける組織
編集部
「我が社にはこんなメンバーがいるんです」という紹介をしていただけますか?
大金さん
紹介したいメンバーは数多くいるのですが、Schooらしさを体現していると思うのはCFOの中西勇介さんです。
中西さんは社会人になってから大学院でファイナンスを2度学び、現在も現役の大学生として別分野を学んでいます。仕事と学習を両立し、学び続けている人物なんです。中西さんに限らず、Schooでは学習意欲の高いメンバーが本当に多いですね。
「Schooユニバーシティ」や自社コンテンツの自由閲覧、書籍購入補助など、学びを支援する仕組みが整っています。また、役職者が学習を続ける姿を見て刺激を受け、社員全体が「自分も学び続けよう」という意識を持つようになっています。
編集部
学ぶ内容は、必ずしも業務に直接関連するものでなくてもいいんですね。
大金さん
はい。「Schoo」のサービスで提供しているコンテンツも、ビジネスに役立つ分野だけでなく、リベラルアーツ(教養・学問)の授業が多数あります。
学びには様々な側面があり、短期的な成長を促すものだけでなく、一見関係ない分野が中長期的に役立つこともあります。Schooは学ぶことに関して、ジャンルを問わず応援してくれる会社だと感じています。
編集部
「誰よりも学習する」というSchooさんのフィロソフィーが、メンバーの皆さんに深く根付いているんですね。社会人になってからも学び続けて成長したい人にとって、理想的な環境だと思います。
Schooの採用方針:個人の「will」と会社のミッションの融合を目指して
▲Schooさんからのメッセージ(公式サイトの採用資料から引用)
編集部
最後に、採用に関してお話を伺えればと思います。採用時の判断基準として、重視しているポイントはどこでしょうか?
大金さん
その方のスキルをチェックするのは当然ですが、重視しているのはやはりミッション・ビジョン・フィロソフィー、つまり当社のカルチャーにマッチしているかという点です。
Schooの理念が個人のやりたいこととどう関わるかということまで深堀りして伺っています。応募者ご自身の軸と会社の軸がクロスしていれば、「一緒に頑張って実現していきましょう」という話になると思います。
たとえば「地方創生の事業に携わっていきたい」という方がいたとして、その内容がSchooが現在展開している事業とピッタリ一致するものでなくても、どこか一部では交わるはずです。自分の「will」、やってみたいことをお聞かせいただいた上で一緒に実現させていくというのが、私たちも入社していただく方も幸せになる方法だと考えています。
面談・面接はすべてオンラインで実施していますし、もちろん対面でお話しすることもできます。Schooという会社に興味を持っていただけたなら、ぜひ気軽に応募してください。
編集部
会社のためだけに働くのではなく、自分の夢や目標を実現するために会社と並走していくというイメージですね。そのような方が入社されるからこそ、Schooさんはつねに学び続けるメンバーが多いのだと納得しました。
本日はありがとうございました!
■取材協力
株式会社Schoo:https://corp.schoo.jp/
採用ページ:https://corp.schoo.jp/careers