新しい働き方を実践している企業や成長中の企業にインタビューするこの企画。今回は「すべての人へ、可能性を最大化する指導を」というビジョンのもと、AI(人工知能)機能を使って指導力を向上させるアプリ『Sportip Pro』を生み出した株式会社Sportip(スポーティップ)さんにお話を伺いました。
株式会社Sportipとは
▲株式会社Sportipのビジョン(公式サイトから引用)
株式会社Sportipは、動作解析とAIテクノロジーに特化した筑波大学発のベンチャー企業で、現在はITやバイオの力を駆使した個人の動作のデータ解析、そしてそれを基にした適切な指導が行えるアプリの開発を進めています。
個人に合わせたトレーニングを届けるアシスタントAI『Sportip Pro』、介護サービスの現場からのニーズを踏まえて作られた『リハケア』など、独自のAI技術や筑波大学との連携によって「一人に"ひとつ"のコーチ」の提供を可能にしています。
会社名 | 株式会社Sportip |
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住所 | 東京都文京区本郷4丁目1番4号 Design Place α 7階 |
事業内容 | アプリケーション開発、動作解析システムの開発、メディアの運営 |
設立 | 2018年 9月25日 |
公式ページ | https://www.sportip.jp/ |
働き方 | オフィス出社とリモートワークのブレンド |
今回は、株式会社Sportipのシニアマネージャーである松本さんにお話を聞かせていただきました。株式会社Sportipの成り立ちやご自身の経験、社員の方々の働き方、採用に関するポイントなどについて伺っています。
瞬時にパーソナライズ化が可能なトレーニング解析アプリを開発
▲株式会社Sportipの開発したアプリ『Sportip Pro』のイメージ画像
編集部
まずは、Sportipさんの事業内容について聞かせていただけますか。
松本さん
いつでもどこでも誰でも利用できる動作解析アプリの開発を主軸としておりまして、現在メインになっているのは『Sportip Pro』と『リハケア』です。ただ、この一年で取り組んできたところで言えば『Sportip Pro』が大きな割合を占めていると思います。
編集部
『Sportip Pro』はどういったことができるアプリなのでしょうか?
松本さん
トレーニング指導者に対して、AI機能を使って指導力を向上させるサービスです。例えば、実際に整体や接骨院、フィットネスクラブなどで利用いただく場合、『Sportip Pro』を使えば一人ひとりに合った指導法を1秒で正確に提案することが可能です。
スピードと精度が優れている理由は、AIにより骨格の位置を写真1枚だけで推定できるところにあります。個人のデータを入力し、写真もしくは動画を撮影するだけで、リアルタイムで診断結果やどんなサポートが必要か、が提案できるんです。
編集部
こういったことは、本来ならば整体の先生やトレーナーさんの感覚や経験値でやっていたものですね。アプリによって数値やデータをもとに適切なアドバイスを瞬時に導き出せてしまうとは驚きです。
松本さん
そうなんです。さらに、アプリ内の解析機能により228の項目をチェックできるので、どんな方でもパーソナライズ化させることができます。解析結果のフィードバックも数が多いので、本当に個人に合わせた提案ができるようになっているんですよ。
トレーニングやストレッチなどのメニューを考えるときも、2,000を超えるメニューを揃えており自動作成ができるので、一人ひとりの姿勢改善に向けた効率的な取り組みが可能なんです。
継続利用で「明らかな効果があった」という喜びの声が多数
編集部
Sportipさんの『Sportip Pro』について、もう少し詳しくお聞かせいただければと思います。どのようなきっかけで生まれたのでしょうか?
松本さん
プロダクトの構想自体は、高久(代表取締役の高久侑也さん)が以前から持っていたんです。
私は大学院の在学中にすでにここで働いていたのですが、たまたま私の研究内容が関連していたことと、AIの力が台頭してきた時代でもあったので、「こうやったらできるんじゃないか」というディスカッションから始まって、とりあえず一旦つくってみようという流れで開発に至りました。
編集部
具体的には、どのような方が使っているのでしょうか?
松本さん
多いのはフィットネスクラブや整体院、整骨院の方ですね。場合によっては、企業などの研究開発のシーンで活用されたり、アクティブシニア向けのイベントをやっている各市町村にお使いいただくこともあります。
使用料としては、基本的には初期費用プラス月額料金となっていて、プランによって登録できるユーザー数や解析できる種目数が変化します。
また、SportipにはPT・OT(※)などの資格を持った社員が多くいるため、導入後のフォローも適宜実施しています。『Sportip Pro』の使い方や解析種目、フィードバックなどの説明ができるよう、サポートしています。
(※)リハビリテーションを専門とする資格。PTは理学療法士、OTは作業療法士を意味する。
編集部
『Sportip Pro』を導入したことによる喜びの声は届いていますか?
松本さん
はい。過去の事例でいうと、以前に甲府市さんと連携していわゆる市民の皆さんの「健康度チェック」に使っていただいたことがあります。
これは体育館で運動姿勢の解析をし、その結果を基にして運動をしてもらういうものだったのですが、そのときに背骨がかなり曲がっていた90歳くらいの女性がいらっしゃったんです。その後、『Sportip Pro』を1年くらい定期的に使って姿勢を改善することで、背骨がまっすぐになったんですよ。
また、他のユーザーさんからも「体力が衰えていたけど、姿勢が改善したことで向上した」といった感想をいただいています。もちろん継続して取り組まれているかどうかで結果は変わってくるので、今後我々は継続が可能になるような仕組みを、できるだけ作っていくことが必要になると考えています。
AI×スポーツを掛け合わせた稀有なベンチャー
編集部
Sportipさんには、トレーナーやデザイナー、営業マネージャーなど、いろんな職種の方がいると耳にしたのですが、松本さんの専門領域はどういったところになるのですか?
松本さん
私はエンジニアですね。Sportipの創業は2018年9月なのですが、私はその3ヶ月後の2018年11月にジョインしています。そのときのメンバーはまだ3〜4人でオフィスもなかったので、いろいろなコワーキングスペースを借りて仕事をしていました。
編集部
まだ『Sportip Pro』のプロダクトもなかったわけですよね。かなり早期にジョインされたように思うのですが、Sportipさんに入社を決めた理由はどういったところにあったのでしょうか。
松本さん
私は大学院の研究室でAI研究をしていたのですが、同時にスポーツもずっとやってきたので、その分野に対して貢献がしたいと考えていたんです。
しかし、自分のAI技術をスポーツの分野で活かせる会社を探しても、そもそもあまり日本にはないんですね。2018年当時、AIを使った事業を行っているのはベンチャーぐらいで、かつスポーツ事業という狭い市場となると数社しかないという状況でした。
結果、自分でやるか誰かとやるかしかないとなったタイミングで、今の代表に出会ったんです。
編集部
もともとは「スポーツ×AI」というキーワードから入られたようですが、現在はシニアの健康や介護など、スポーツ以外の領域にも関わりが広がっているのは面白いですね。
松本さん
そうですね。学生時代であればいきなり介護事業に関わることはなかったと思います。これまでSportipでやってきた積み重ねが大きいと思いますし、このような広がりがあることで、今後も働いていく意味があると感じています。
日本トップレベルのエンジニアが参画する職場環境
編集部
松本さんにとってのSportipさんでの仕事のやりがいはどこにありますか?
松本さん
職場の環境の素晴らしさですね。Sportipには、複数人の日本トップレベルのAIエンジニアが参画しているんですよ。本来なら数億円単位で行う動作解析を、アプリ一つで実現できるという技術力は本当に凄いと思っています。
また、Sportipでは筑波大学と連携して、AIに正しく学習させるためのデータ自体も作っているんです。その設備を持ってるというのは、かなりの強みではないかと思います。
加えて、普通ならあまりアクセスできないような教授の方々からもいろいろとご意見をいただけていることもモチベーションにつながりますね。研究と現場を繋ぐという、今までにないプロダクトに関われることに強いやりがいを感じています。
編集部
そんなすごい方たちが、なぜSportipさんに参画してくれているのだと思いますか?
松本さん
Sportipの「すべての人へ、可能性を最大化する指導を」というビジョンに共感している人が多いのでしょうね。例えばAIエンジニアであれば、自分の得意とするものだったり、興味がある領域のプロダクトを出していくことでモチベーションも上がると思うんですよ。
Sportipの場合はフィットネス、リハビリ、介護、スクール事業など、複数の領域に携わっているので、市場が小さい領域にも投資ができる背景も含めて、やる気の向上につながっているのではないでしょうか。モチベーションとビジョンがしっかりリンクしていると言えると思います。
編集部
市場が小さいとマネタイズが厳しくなってしまうものですが、そこで背中を押せる会社である時点で、環境の良い職場であることの証明ですよね。
成長し続けるSportipが見据えるグローバル展開
編集部
Sportipさんは今注目の成長企業ですが、この1年間で具体的にどれくらい売上げは上がりましたか?
松本さん
およそ2.5倍くらいですね。社員数も、業務委託を含めれば2倍くらいにはなっているのではないかと思います。
編集部
Sportipさんに、日本国内での競合他社というのはいらっしゃるのでしょうか?
松本さん
姿勢を分析できるとか、運動メニューをカスタマイズできるというプロダクトはあるのですが、完全な競合というのは見当たらないかもしれません。AIの技術にしても筑波大との連携の部分にしても、唯一というか、圧倒的ではないかと自負しています。
編集部
現状、まさに唯一無二の企業であるわけですね。現在は日本のみのサービス展開ですが、今後グローバルに広げていく予定はありますか?
松本さん
はい。『Sportip Pro』だけでなく、複数のプロダクトを作っていく上で海外展開はマストだと考えています。海外の先行事例だとオーストラリアと中国、あとアメリカあたりが思い当たりますが、あまり突出してる国はないかもしれません。
イベントに足を運ぶと海外からのお客様も非常に多いので、日本のヘルスケアが注目されているのでしょうね。
編集部
世界的にも健康寿命の長さが大事だと言われていますが、実情としては他国の研究やプロダクト開発もまだまだこれからだといえるのかもしれません。Sportipさんはいわば、世界的にも動作解析のトップランナーなんですね。
世界的に誇れるプロダクトを一緒に作る仲間を募集
編集部
現在Sportipさんでは、どのような働き方になっているのでしょうか?
松本さん
そうですね。東京オフィスを中心として、出社をベースにリモートもブレンドする働き方にシフトしています。柔軟に調整できる働き方ですね。筑波大学と連携をしているので、たまにつくばの方に行くこともあります。
編集部
Sportipさんには学生インターンの立場からのジョインも可能なのでしょうか?
松本さん
もちろんです。実際、今もインターン生は複数名いますし、優秀であれば新卒で採用することもあります。体験したい方がいれば、カジュアル面談のような形でご連絡いただければと思います。
編集部
では、最後にこの記事を読んでSportipさんに興味を抱いたという方に向けてメッセージをお願いします。
松本さん
今後、健康寿命延伸などのヘルスケアの領域は、世界的に見ても日本が一番注目されていくと思います。Sportipのビジョンに共感してくれる方はぜひ応募してみてください。
『Sportip Pro』をはじめとした世界にも誇れるようなプロダクトや事業を、一緒に作っていける仲間ができると嬉しいですね。
編集部
今回は注目の成長企業であるSportipさんの立ち上げ当初からのメンバーである松本さんに、現在のプロダクトや会社の目指すところなどをじっくり聞かせていただきました。
今後はグローバルな観点からもさらなる注目を集めて、ますます進化されていくのではないかと感じています。本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社Sportip:https://www.sportip.jp/
採用ページ:https://herp.careers/v1/sportip