エンジニアの働き方や育成手法などで注目される企業をインタビューする本企画。今回は、ビジネス向けクラウドサービスと連携するツール「rakumo」を開発・提供しているrakumo株式会社をご紹介します。rakumoは、Google WorkspaceやSalesforceなどの主要なクラウドサービスとシームレスに連携し、業務効率を向上させる拡張機能を提供しています。
rakumo株式会社:クラウド拡張ツールで業務効率化を実現
2004年12月に設立されたrakumo株式会社は、SaaSサービスである自社製品「rakumo」(Google Workspace版、Salesforce版)の開発・販売を行っています。また、Google Workspaceなどの関連する他社ライセンスの販売代理も手がけています。
「rakumo」には、「業務効率化をラクにできる」「使いやすいデザイン」そして「シンプルな管理画面」という3つの特徴があります。導入企業数はすでに2,300社に達し、契約ライセンス数は1,000,000件、継続率は99%を誇っています(※)。
さらに、2023年7月には「ITreview Grid Award 2023 Summer」の計8部門で「Leader/ High Performer」に選出されました。これは、ユーザーからの高い評価を反映したものです。
(※)2022年12月末現在
会社名 | rakumo株式会社 |
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住所 | 東京都千代田区麹町3-2 垣見麹町ビル6階 |
事業内容 | ・rakumo製品の開発・販売 ・情報通信機器、ソフトウェアの販売 ・上記に付随した導入支援サービス |
設立 | 2004年12月 |
公式サイト | https://corporate.rakumo.com/ |
働き方 | ハイブリッド勤務(出社+リモートワーク) |
今回は、rakumo株式会社の代表取締役社長である御手洗大祐さんと人事担当の金沢佑佳さんに、提供サービス「rakumo」の概要やエンジニアの開発環境、若手の活躍状況などについて詳しくお話を伺いました。
「rakumo」:仕事をラクにするクラウド拡張ツールの全容
▲rakumo株式会社のビジョン(公式ページより引用)
編集部
まず、rakumoさんの事業内容のご説明からお願いいたします。
御手洗さん
rakumoは、Google WorkspaceやSalesforceといった大手のクラウドプラットフォームと連携し、それらのツールをお仕事でより「ラク」に使っていただくためのSaaSを開発・提供している会社です。
そのSaaSは、社名と同じ「rakumo」というネーミングです。各プラットフォームのユーザー情報をそのまま使って、専門的な知識がなくても簡単に導入していただけることが評価され、多くの方にご利用いただいています。
編集部
「rakumo」は具体的にはどんなツールなのですか。
御手洗さん
Google Workspaceのような大手の業務用ツールは、世界中の企業で活用されています。しかし、標準機能だけでは業務をカバーしきれないケースが多くあります。
そこで「rakumo」は、Google Workspaceのユーザー管理や認証、セキュリティ機能を共通利用した上で、カレンダーや社内掲示板、共有アドレス帳などの標準機能を拡張しています。さらに、勤怠管理や電子稟議、経費精算といったGoogle Workspaceでは補えない業務領域もサポートしています。
つまり「rakumo」は、大手のクラウド型プラットフォームと連携して使うことで、より使いやすいビジネス環境の構築を支援するツールです。新たなハードウェアを必要としないSaaSなので、リモートワークなどの柔軟な働き方にも対応しやすいサービスになっています。
▲rakumo株式会社が提供しているツール「rakumo」のサービスイメージ
編集部
御社がそうした事業に参入したきっかけは何でしょうか。
御手洗さん
ビジョンとして「仕事をラクに。オモシロく。」を掲げていますが、このビジョンを実現するために参入したという理由が大きいですね。
日本経済の重要な課題の一つは、デジタル活用が進まないことによる労働生産性の低下です。これは近年の働き方改革でも頻繁に議論されてきました。働く側から見ると、例えば最近まで毎日「満員電車に乗って通勤する」という状況を強いられてきたということです。
弊社は、この状況を見て「もっとラクに、楽しく働けるようにしたい」と考えました。この思いから、2011年4月にサービスをスタートしました。元々デジタルの技術やデザインを得意としてきた会社ですので、そのノウハウを活かしながら、生産性の高い仕事により集中できる環境作りのお手伝いをさせていただいています。
サービス継続率99%の秘訣:共通の行動指針と顧客中心主義
▲rakumo株式会社の行動指針(公式ページより引用)
編集部
自社サービス「rakumo」の開発および提供にあたって、どのような姿勢を大切にされているのでしょうか?
御手洗さん
rakumoでは行動指針として「情熱。協働。変化。」という3つのキーワードを掲げています。この3つを会社のカルチャーとして長年徹底してきましたし、社員も大切にしています。
クラウドサービスは、単にインターネット上に置いておくだけでは不十分です。サービスの魅力や使い方をお客様にしっかりと伝え、お客様からの要望を聞いて反映させる必要があります。
このプロセスを自社で完結させるために、部署や職種の垣根を越えて、メンバー同士が互いに尊重し合いながら業務を進めることを重視してきました。全員が共通の目標と行動指針を持ち、1つのサービスを丁寧に作り込むことが重要だからです。
このようなチーム作りがクラウドサービスでは非常に重要だと考えています。この姿勢を貫いてきたことが、「rakumo for Google Workspace」の99%以上という高い継続率にも繋がっていると考えています。
編集部
製品の品質だけでなく、導入後のサポートも含めてユーザーに満足してもらうことを重視されているのですね。
御手洗さん
その通りです。ユーザーからのアンケートでも、製品だけでなく、サポートにも高い評価をいただくことが多いです。社内では常に「製品だけでなく、提供しているもの全体が1つのサービスだ」という認識を共有しています。
rakumoのエンジニア環境:高生産性を実現する柔軟な制度
▲rakumoさんのオンライン・オフライン混合によるミーティング風景
編集部
次に、rakumoさんのエンジニアの皆さんの働き方について伺います。基本的にはリモートワークでしょうか。
金沢さん
リモート中心ですが、フルリモートというわけではありません。会社としては、「自身の生産性が一番高くなる働き方をしてください」という方針を掲げています。
基本的には自宅でのリモートワークですが、ブレインストーミングや対面での話し合いが効率的な場合には出社しています。「リモートは週に何回まで」といった制限は特に設けていません。
編集部
エンジニアの方の居住エリアについては、何か決まりがあるのでしょうか。
金沢さん
基本的には、居住地の制限はありません。ただし、部門や会社からの出社指示に速やかに対応できる環境にいてほしいと伝えています。
コロナ禍の影響で郊外に移住したメンバーもおり、住むエリアについては比較的自由に選択できる状況です。
最先端開発環境と海外研修:rakumoのエンジニア成長支援
編集部
rakumoさんのエンジニアの方は、どんな開発環境で仕事をされているのでしょうか。
御手洗さん
クラウドサービスを提供する会社として、最新の基盤技術を用いた開発環境を整えています。効率的な開発プロセス管理システムや、様々なコラボレーションツールを導入し、リモートワークでも高い生産性を維持できるようにしています。
具体的には、GitHubのようなコード管理ツールなど、Webサービス業界で一般的に使用されているものを積極的に採用しています。
また、品質管理と開発・製造を分けるなど、業務プロセスにも配慮しています。ただし、この分業体制は「自分の担当領域以外は関係ない」という意識につながるものではありません。チーム全体でコミュニケーションを密に取りながら、協力して業務に取り組んでいます。
金沢さん
開発環境の充実を図るため、弊社では以前から最新のツールやサービスを積極的に導入しています。
御手洗さん
その通りです。最近の例では、Googleの生成系AIのサービス実装パートナーになりました。このような新技術に関しては、常にGoogleなどのパートナー企業と連携しながら、アメリカの最新技術を取り入れる努力をしています。
編集部
最先端のテクノロジーに触れながら仕事をしたい方にとって、理想的な環境だと言えますね。
金沢さん
そう思います。今後、Google主催の勉強会への参加機会が大幅に増えるでしょう。また、コロナ禍以前は、アメリカのGoogle社主催イベントへの参加や、ベトナムの子会社での研修の機会も設けていました。これらの取り組みも再開する予定です。
コロナ禍の収束傾向に伴い、海外での勉強会が増加しつつあります。会社としては、エンジニアにこのような機会を提供し、さらなる成長を支援したいと考えています。
技術力向上への投資:資格取得支援とインセンティブ制度
編集部
エンジニアの成長のために、rakumoさんではどのようなサポートを行っているのでしょうか。
金沢さん
一例としては、オンラインの学習システムを導入しており、社員が興味のあるコンテンツを自由に学べる環境を整えています。これにより、個々のスキルアップを支援しています。
御手洗さん
GoogleやSalesforceの技術認定資格取得のための各種支援も行っています。資格を取得した社員には資格給を支給するなどのインセンティブを用意しています。
会社としては、メンバーそれぞれが志望するキャリアを選択し、積極的にスキルアップを進めてほしいと考えており、そのためにできる限りの支援をしたいと思っています。
編集部
キャリアパスとしては、どのような選択肢が用意されているのでしょうか。
金沢さん
キャリアパスについては、管理職としての方向と、スペシャリストとしての方向の2つを用意しています。ピープルマネジメントに進みたい方も、技術をさらに極めたい方も、それぞれの希望に応じてキャリアを選択できるようになっています。
若手が活躍するrakumo:新卒教育を担う2~3年目社員
編集部
rakumoさんには若手のメンバーが多くいらっしゃいます。どのような活躍をしているのか、具体的にお聞かせください。
金沢さん
一つの例としては、メンターとしての活躍が挙げられます。弊社では毎年数名の新卒を採用していますが、入社から2~3年の若手社員が、新卒社員のメンターとして業務の流れなどを指導しています。業務に関する不安や悩みの相談にも、積極的に対応してくれています。
また、採用面接に若手社員が同席することもあります。若いうちから、チームに貢献するような業務に意欲的な人が多いので、できるだけ責任ある仕事をお任せするようにしています。
編集部
若手社員から自発的に「こういうことをやってみたい」という提案は出てくるのでしょうか?
金沢さん
そういったケースもあります。ただ、若手が新しいアイデアや希望を発言することは容易ではないと認識しています。そのため、若手社員が意見を出しやすい環境や雰囲気づくりに、会社として努めています。
「もぐもぐ会」:お菓子とコーディングで活性化する社内交流
▲新卒メンバーを含めたコミュニケーション活性化のためにスタートしたrakumoさんの「もぐもぐ会」
編集部
若手が発言しやすい環境を作るために、rakumoさんではどんな取り組みをしているのですか。
金沢さん
例えば「もぐもぐ会」があります。これは2023年度からスタートした、主に新卒エンジニア向けの施策です。
当社のエンジニアはリモートワークを選択する方が多いため、対面でコミュニケーションをとる機会が限られています。特に新卒エンジニアは会社に慣れていないので、そういった機会を作りづらい状況です。
そこで先輩エンジニアたちが、オフィスで一緒にお菓子を食べて、コミュニケーションをとりながらコードを書く機会として「もぐもぐ会」を企画しました。月に1~2回、日時を設定して先輩社員がオフィスにお菓子を用意し、出社できる人たちが集まって和やかな雰囲気でコーディングをしています。
金沢さん
実はもぐもぐ会を発案したのも、入社4年目の若手メンバーでした。「新卒メンバーに馴染んでもらうために、こういう会を企画したらどうですか」と提案してくれたんです。予想外の提案でしたが、会社や既存メンバーと馴染みやすくなる施策ですし、新卒社員からもたいへん好評です。
実践的なインターンシップ:技術リサーチと業務体験
編集部
では続いて、インターンについてお伺いしたいと思います。rakumoさんでは、学生を積極的に受け入れているのでしょうか。
御手洗さん
はい、現在5名のインターン生を受け入れています。弊社は長年インターンを受け入れており、新卒採用にも繋がるケースがあります。インターン経験者は入社後すぐに活躍できるベースを持っているため、本当の意味で即戦力となっています。
また、インターンの受け入れは弊社にとっても情報収集の機会となります。学生の皆さんの知見には、ある程度経験を積んだ私たちにとっても、学ぶことがすごくあるんですよ。そういう面からも、非常に有意義だと考えています。
編集部
インターンの皆さんは、どのような業務をされていますか。
金沢さん
配属先によって異なります。インターンの募集は基本的に部門ごとで実施しており、業務内容も変わります。例えばマーケティング部門では、このようなインタビューの補助や記事の執筆をお願いすることがあります。
一方、IT系の学生には、開発部門でエンジニアリングの学習と業務サポートをしてもらっています。大きく分けると、この2つの方向性があります。
御手洗さん
補足すると、開発部門ではプログラムを書くだけではなく、技術調査などをスタッフから依頼されることも多いんです。「このテクノロジーは海外ではどう使われているのか」や「実際にどうコードを書けばいいか」といったことを調査してレポートを作成してもらうので、かなり学びの多い経験になると思います。
編集部
では今後とも、インターンを積極的に受け入れるお考えですか。
金沢さん
はい、そう考えています。実は近々、営業部門でもインターンの募集を開始する予定です。採用情報の公開が正式に決まったら、弊社の採用ページで詳細をご案内します(2023年9月時点)。ご興味のある方は、こちらをご覧ください。
■インターン情報が掲載されるrakumo株式会社の採用ページはこちら!
https://corporate.rakumo.com/recruit/
フラットな組織文化:「社長室」も自由に使えるrakumoの働き方
編集部
rakumoさんの社風は、どのようなものだと感じているでしょうか。
金沢さん
社風に関しては、かなりフラットだと思います。例えば会議室の予約がいっぱいで部屋が取れなかった時、代表の御手洗に「社長室を使いたいので空けてください」と気軽にお願いすることができます(笑)。
実際、場所を移動した御手洗が若手メンバーの隣に座って仕事を続けている光景は、弊社ではよく見かけます。もちろん御手洗に対する敬意を持った上でお願いしているので、良好な職場環境や関係性が構築できていると感じています。
御手洗さん
弊社のフラットな組織づくりは、長年のパートナーであるGoogleの影響が大きいです。Googleは以前から心理的安全性を非常に重視しており、気軽に話しかけやすい雰囲気作りや、アイデアを出しやすい環境作りを大切にしています。
そのような会社と長く協力関係を築いてきたことで、弊社もその考え方を学び、社風として定着させてきました。
rakumoの人材像:行動指針に共感する多様な「趣味人」
編集部
rakumoさんのメンバーの特徴として、皆さんに共通するものは何かございますか。
金沢さん
一番はやはり「情熱。協働。変化。」という行動指針への共感ですね。これが弊社のカルチャーの根底です。活躍しているメンバーほど、行動指針への共感度合いが高いように感じます。採用の段階でも、この行動指針への親和性の高さを重視しています。
編集部
採用の段階で、行動指針についてお話しされているのですね。
金沢さん
そうです。面接時に候補者の過去の行動や経験を伺いながら、行動指針に当てはまる方かどうかを特に意識して見させていただいています。
編集部
他にメンバーの皆さんには、どんな特徴がありますか。
金沢さん
精神的に大人な方が多いと感じています。メンバーは性格やキャリアなど多様性に富んでいますが、衝突せずにうまくやっていけているのは、その精神的な成熟さが大きいと思います。
また、他人に過干渉な方もいません。あくまでも行動指針に則って、それぞれがお互いの仕事をリスペクトしています。そして「仕事をラクに。オモシロく。」というビジョンを、各自の立場で実現しようと努力している方が多いと思います。
御手洗さん
多様性という点では、rakumoのメンバーには「趣味人」が多いことも特徴です。こだわりの趣味を持ち、仕事と同様にそちらにもエネルギーを注ぐ人がかなり見られます。
rakumoが求める人材:価値提供と感謝に喜びを感じる方
編集部
では最後に、この記事を読んで御社に興味を持った方へのメッセージをお願いします。
御手洗さん
rakumoは現在のサービスを始める前に、「ゲームを開発するか、業務系のサービスを展開するか」について大きな議論をしました。会社の将来の方向性を決める重要な話し合いでした。そこで、弊社のエンジニア達から「自分達は派手なゲームよりも実用的なサービスが得意」という意見が多く出されました。
ゲームを楽しむメンバーは多かったのですが、「ゲームも素晴らしいが、人の役に立つことをしたい」「実際に使われ、フィードバックが得られるものを作りたい」と考えるエンジニアが多数派だったのです。
この考え方は今でも、会社の根幹として定着しています。エンジニアだけでなく、営業やサポート部門も同様です。そのため、弊社が求めている人材は、「人に価値を提供し、感謝されることや認められることに喜びを感じられる方」です。そういう方に、ぜひ来ていただきたいと思っています。
編集部
プロダクトを通して人や社会に貢献する気持ちが大切ということですね。
御手洗さん
そうです。弊社の根底には、「人はできるだけ自由に、できるだけやりたいことをやるべき。そのための環境作りを、社会全体でやっていくべきだ」という考え方があります。
弊社の提供しているツールも、少しでもそういった理念に役立てていきたいと考えています。このような考え方に共感し、一緒に取り組みたいという方を心よりお待ちしています。
編集部
事業を通して社会を良くすることに共感できるかどうかが重要なのですね。本日はありがとうございました。
■取材協力
rakumo株式会社 https://rakumo.com/
採用ページ https://corporate.rakumo.com/recruit/